神社が建ちました
なんかあっという間に、神社が建ちました……。
そう思いながら、アリスンは村人たちと、参道となるであろう道に立ち、その社殿を見上げていた。
アリスンの記憶を頼りに、木こりや村の人たち、そして、王都から来た職人さんたちが、それっぽく建ててくれた小さな社。
宮大工さんたちが見たら、
「いや違うっ。
そうじゃないっ」
と怒り出しそうな建て方だったかもしれないが、今はこれが精一杯だ。
いい木の香りが此処まで漂ってくるようで、清々しい。
赤い鳥居も作ってもらった。
配置的には前世の神社と似た感じだ。
「さすがはサイバイン様」
とすべての手筈を整えてくれたサイバインをアリスンは褒め称える。
「いやいや」
と完成したと聞いて王都からやってきたサイバインが勝ち誇るような顔をした。
その後ろにアリスンの父、レイモンドがブツブツ言いながら立っている。
「何故、このようなことになっておるのだ?
サイバイン、お前はなにをしに此処に通っておったのだ。
王子が入り浸っているのを邪魔するためではなかったのか。
何故、アリスンに手を貸している。
これではアリスンが帰って来ないではないか。
……いや、それ以前に、この男は誰だ」
とレイモンドはアリスンの横に居た魔王様を見上げ、訊いてきた。
威風堂々とマントを風になびかせながら立つ彼を紹介し、アリスンは言う。
「魔王様です。
ずっと眠ってらした……いえ、ずっとぼうっとしてらしたそうなのですが。
神社建設にあたり、起きてきて力を貸してくださったのです」
「ずっとぼうっとしていた奴が出てきたからと言って、ありがたみはあまりないような」
と横で、やはり来ていた王子が呟いていた。
「ほほう、これが魔王というものか。
初めて見たな」
一瞬、感心したレイモンドだったが、すぐに、
「魔王であるからには、なにかすごいことができるのであろう。
魔王様よ、そなたには、なにができるのだ?」
と言い出した。
さすがやり手のお父様っ、魔王様にも容赦なしかっ、とアリスンは思ってた。
だが、魔王様というのは、本来、遭遇したら、恐れおののくべきもので。
あんた、なにができるんだ? と訊くような類いのものではないのでは?
とアリスンは思っていたが、律儀な魔王様は、
「……皿が洗える。
アリスンのおかげで」
と言葉少なに語っていた。
ほう、とレイモンドは言ったが、魔王様は、それだけでは魔王としてどうだろうと思ったのか。
「光も灯せるようになった。
アリスンのおかげで」
と付け足す。
ほほう、とまたレイモンドが言うと、魔王様は、
「ヨモギを乾燥させて、モグサも作れるようになった。
アリスンのおかげで」
とまた言う。
「ほうほう、それから?」
とレイモンドは更に突っ込んで訊いている。
魔王様は一生懸命、レイモンドが求めるままに、アリスンにより、なにができるようになったのかを語っていた。
「さすがは魔王様っ。
素晴らしい。
ずっとぼうっとされていたのに、一気にそこまでの力を取り戻されるとはっ」
とレイモンドは魔王様を称賛している。
「いや、あの魔王。
そんなに褒めるほど、すごいことができてるか?」
人間でも、時間をかけたりすればできることばかりだぞ?
と王子は言い、
「お前の父親、相変わらず、お前と同じで褒めて伸ばすタイプだな」
と言っていた。
横に居るノアが、
「結局、全部、お嬢のおかげでできるようになったんじゃないかとか突っ込まないところがさすがですよね」
と笑って言っていた。




