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婚約破棄されたので、カミサマを探しにいきます ~異世界で巫女さんになりました~  作者: 菱沼あゆ


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そこまでです、魔王様

 

「魔王様、どうされましたー?」

と言いながら、やがてアリスンがやってきた。


 子どもたちを先に戻らせたのに、自分が戻らなかったからだろうと魔王は思った。


「いや、ちょっと花を見ていたのだ」

と言うと、アリスンは自分の視線を追い、不思議そうな顔をする。


 どう見ても、ただの土を見ていたからだろう。


 そこには芽も花もなかった。


 魔王はアリスンを促しながら、その場を離れる。


「怪しい秘伝のソースを見つけたと聞いたが」


「そうっ。

 すごくタコに合ってて美味しいんですよっ、いつのだかわからない、そのソースがっ」


「……いや、大丈夫なのか、それ」

と言いながら、共に行きかけ、魔王は、チラとさっきの場所を振り返った。




 焼きタコ大会のあと、みな満足して家に帰ったり、宿の部屋に帰ったり、持ち場に戻ったりした。


 魔王は、そっとまた宿屋の裏に回ってみる。


 いや、なんだかんだで魔王なので、目立たないように動けていたかは謎なのだが……。


 やはり、芽は出ていないようだ、と思いながら、先程の地面を眺める。


 実はさっきの子どもたちに、此処に新しいタネを植えてもらったのだ。


 子どもたちに手をかざさせ、早く花が咲くよう祈ってもらったが、なにも起こらなかった。


 ……やはりか、と思ったとき、首筋に冷たいものが当たった。


「そこまでです、魔王様」


 剣を手にしたノアが後ろに立っていた。


「……振り向かないでくださいよ。

 切れたらどうするんですか」


「そう思うのなら、剣を向けるな」


「ただの脅しですよ。

 あなたが余計なことをされるから」


「余計なこととはなんだ?」


「あなたが今、されたことですよ。

 もうお気づきのようですね」


 此処は魔力のある土地などではない、とノアは言う。


 魔王様、とノアは静かに呼びかけてくる。


「このまま、この件は伏せておいてください」


「何故だ」


「子どもたちや王子の花を咲かせたのは、この土地じゃない。

 お嬢です」


 あれはただの人間ではない、とノアは言う。


「お嬢は前世ではカミサマに仕えるものだったと言っていましたね。


 そのせいだったんでしょうかね?

 昔から、ちょっと不思議な力が使えてはいたんですよ。


 主に自然に対して、のようなんですが。


 街にいた頃はあまりそのような能力は使う機会がなかったので、みんな気づかなかったみたいなんですけどね。


 私も疑っていただけでしたし、王子はあの通り、ぼんやりした人なので」


 前世とやらを思い出したせいで、より力が強くなったのかもしれませんね、と言う。


「私はずっとお嬢を守ってきました。

 お嬢が妙な力を発動させなくても済むように。


 知っていたんです。

 幼い頃から言い含められていましたから。


 もしも、王子との縁談が上手くいかなかったら、自分にその話が回ってくるかもしれないと。


 ですが、お嬢に不思議な力があることが知れれば、この国の聖女として、祀り上げられてしまうかもしれません」


 そしたら、私との結婚話もなくなってしまいます、とノアは言う。


「そのために、アリスンの側に張り付いて、余計な力を使わせないようにしていたのか。

 策士だな」


「意外と情熱的でしょう」

とノアが笑ったとき、宿屋の陰から現れた者がノアの首許に剣を突きつけた。


「なにをしている、ノア」


 王子だった。




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