結局、尻に敷かれてるじゃないですか
「ほう。
此処は願えば花が早く咲く土地なのか。
やはり、魔力のある土地なのだろうかな」
今までの話を聞いた王子はそう言い頷いていた。
「そういえば、魔王様の森が何故、売買できないのか、わかりました?」
とアリスンは訊いたが、王子は眉をひそめ、言ってくる。
「急かすな。
俺はお前の小間使いか」
「王子。
婚約破棄したのに、結局、尻に敷かれてるじゃないですか」
と口を挟むノアを振り向き、王子が言う。
「そうだ、ノア。
おかしな話を聞いたのだが。
お前とアリスンが結婚するとかいう……」
王子が最後まで語らないうちに、遮るようにノアが言った。
「別におかしな話ではないですよ。
あなたがアリスン様をお捨てになられたので、私が代わりに、アリスン様を引き取り、結婚するはめになったというだけの話です」
ノア。
あなた、この間、金目当てじゃなくて、アリスン様目当てで結婚したいって言いましたよ……。
何故、そのように不満げに、私との結婚を語るのですか。
やはり、お父様に押し付けられたのですか……、
と思うアリスンの前で、なんだかんだで、お坊ちゃん育ちで人のいい王子が、
「そ、そうか、すまない」
とノアに謝っていた。
……まあ確かに、すべてはあなたが婚約破棄したことから始まったことではあるんですけどね~と思っていると、王子がいきなり、こちらを振り向き、叱ってきた。
「なに他人事みたいな顔して、ぼーっとしてんだっ。
お前の結婚の話だろうがっ」
いや、顔が、ぼーっとしているのは生まれつきですよ、と思いながら、アリスンは言う。
「だって、いきなり王子妃クビになって、此処まで怒涛の展開ですよ?」
「神社を作るとか、カミサマを探すとか言い出して、自ら怒涛の展開にしてる気がしますが……」
「ああ、魔王まで拾ってくるしな……」
とそこだけは、何故かノアと王子で意気投合して責めてくる。
うっ、と思いながらも、アリスンは言ってみた。
「そんな状態で、ノアと結婚とか言われても。
ずっとぼんやり夢でも見てるみたいな状況なんで、実感なんてあるわけないじゃないですか。
今も、
あれっ?
私、此処で呑気にこんなことしてていいのかなっ?
習い事は?
パーティはっ?
今日のスケジュールはどうなってんのっ!?
とか、ふいに思っちゃったりして、ビクついてるんですから。
でもまあ、そんなことより、今はイカ焼きですよっ」
とアリスンは今更言ってもしょうがない話を打ち切るように、手を打って言う。
「……いや、イカ焼きこそ、そんなことなんじゃないのか」
と王子には言われてしまったが。




