懐刀の実力
「その雰囲気は潮辛い者か。ようワシの前に現れよったの。お前にやられたワシの眷属達を忘れたわけではあるまい。お前の頼みごとなど聞くわけもない。胸くそ悪いわい、ワシは帰る」
自浄なる滝の守護者は帰る素振りを見せた。
「待って。昔の因縁は今はなしにして。源流の懐刀であるあなただって、私の眷属を沢山殺した。私はレンさんを守りたいだけ。私がこの世界に連れてきたから。ここは海が遠すぎる。私の力は発揮できない。あなたに貸し一にする。それで手を打って」
潮辛い大海の主は淡々と言った。
「ほう、主の一人であるお前に貸しか。それはええかもしれん。お前がいつまた戦を仕掛けてくるやも分からんから和睦の隠し玉としておくか。滝とは上から下に落ちるだけ、ワシは実直じゃから常闇の因果の陰謀など本当は大嫌いなんじゃ。清らかなる源流の主様とワシと二人合わせて清浄じゃ。怨恨の汚泥に塗れた者など掃除してくれよう。しょうがない、任せておけい」
「助かる」
自浄なる滝の守護者は苦しんでいるアークデーモンに近づくと、手から大量の水を放出した。
水はアークデーモンの全身に降りかかった。
それを確認すると自浄なる滝の守護者は指をパチンと鳴らす仕草をした。
その途端、アークデーモンの身体はカチコチに凍りついた。
「ハアッ」
凍りついたアークデーモンに自浄なる滝の守護者が正拳突きを一発お見舞いする。
アークデーモンはメキメキと割れ始め、粉々に砕け散った。
「レン、その黒い破片に触れるでないぞ。闇の憎悪じゃ。時間が経てば自然と消える。では、約束は果たしたからな。ワシは帰るぞ」




