哀しんでいる暇もない
ああ、パテラに続きイプーとヤプーまで死んじゃった。
俺はがっくりとうなだれてしまった。
イプーとヤプーに初めて出会った時のことを思い出す。道案内の看板の下で腹すかしてたっけ。佃煮海苔を旨そうに食べてくれたな。拙い喋り方だったけど、心根はいい奴等だった。
カマラに懐いて、年がら年中一緒だった。トイレまで一緒だったとカマラは笑い話にしてた。
まさか、この戦いに命まで張ってくれるとは。まさに英雄だ。
これで五英雄は3人も死んじゃった。
俺が雇って、俺が名を付けたのに。仲良くしてたのに。
なんていう哀しみ。もう嫌になる。すべてを忘れたい。こんな世界来なければ良かった。
辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。辛い。
「レン…」
アリシャが俺を優しく背中から抱きしめてくれた。
「レン、まずいぞ。コボルト先生が…」
アリシャに言われ、コボルト先生の方を見ると、まさに満身創痍であった。装甲はなく、金色の毛は所々剥がれ落ち、肉が見えている。
そんなコボルト先生がアークデーモンの首筋に噛み付いた。アークデーモンは両腕を使いコボルト先生を剥がそうとするが、コボルト先生は剥がれない。アークデーモンの鋭い爪が何度、コボルト先生の身体を突き刺し、何度、切り刻んでも、コボルト先生は離れない。噛み付いたままだ。
コボルト先生の強い意志。
最終的に、胴体をぶつ切りにされてもコボルト先生は噛み付いたままだった。




