レン、奇跡を願う
「ああ、シュバイツが死んじゃった」
シュバイツがアークデーモンのブレスでかき消された姿を見た俺は動揺を隠せなかった。
短い付き合いではあったが、中々の男前で、稲妻を放ちアークデーモンを倒そうと奮闘努力してくれていた。
それがブレスの一撃でやられてしまうなんて。
ああ…
時間経過とともに、戦況は悪化していた。黒色ウルフはほぼ壊滅状態。シュバイツも死んだ。
そんな中、踏ん張っているのがコボルト先生とサラマンダーになったヤプーとイプーだ。
サラマンダーの口から吐き出される無数の火球がアークデーモンに当たるとそれは爆発し、流石のアークデーモンも動けなくなる。そこを狙い、コボルト先生が強烈な噛みつきやタックルをお見舞いしていた。
闇の上位存在VS地の中位眷属とマグマの親分の子分。
激烈な戦いだ。
白色ウルフや騎乗している騎士団、号雷を放ち続ける五英雄パテラにアークデーモンの攻撃の矛先が向けられたらヤバい。彼らにそこまでの強さはない。シュバイツのように一撃で殺されてしまう。
俺はここで生まれて初めて、神様に奇跡を願った。
29年間生きてきた中で神様なんて信じたことはない。
大体の日本人と同じように無宗教。大した生きがいもなく、与えられた仕事を毎日消化し、のんべんだらりんと生きてきた。胸ときめく恋愛なんてのもなかった。何かに抵抗することもなく、時流に身を任せ過ごしてきた。
そんな俺が初めて神様に奇跡を願った。
その瞬間、アークデーモンが黒いブレスを吐いた。
俺の傍らにパテラの生首が飛んできた。




