総力戦
「あの狼一匹にアークデーモンを任せるわけにはいかねえな。いい具合に気分が高揚してきたぜ。俺が貯蓄を叩いて買ったこの名刀、正宗がアイツに通じるか。俺の稲妻がアイツに通じるか。試してみたくなってきた。さあ、出番だ、騎士団、行くぞ」
「ちょっと待つんだシュバイツ、あれを見ろ」
今にも出陣しそうなシュバイツを止めながら俺は言った。
その黒と白の群れは山とは反対の平原の方からやってきた。
「あれは黒色ウルフか。100匹はいやがるな。白いのは黒色の上位種、白色ウルフじゃねえか。Aランク3人がかりで退治する強敵だぞ。あれは30匹くらいか。どういうことだ」
シュバイツが驚愕しながら言った。
「ワオーーン」
コボルト先生が大きく鳴いた。
すると、黒色ウルフと白色ウルフの群れ全体を包むかのように地面から砂や土や小石が沢山、舞い上がった。
「まさか、あの群れにも装甲を纏わせるつもりか」
俺の予想通り、ウルフの群れ一匹一匹に大地の装甲が施されていく。装甲が施されたウルフは順次、アークデーモンの巨体目がけて突撃し始めた。
黒色ウルフはあんまり強くはないが、数が数だし、すばしっこい。装甲も纏っている。アークデーモンに噛み付いては離れ、噛み付いては離れを繰り返す。アークデーモンはそれに翻弄されていた。隙きを見せればコボルト先生の渾身の一撃が加えられる。群れによるコンビネーションの炸裂。
いきなり、狼による総力戦が開始されている。これは、予想していなかった戦力だ。ありがたい。
「我慢できねえ、戦士の血が煮えたぎる。俺はもう行くぜ。レンとか言ったか。お前がもし生き残ってガガに会うことがあったらこう伝えてくれ。ガガ、お前とベロベロ、ベロベロ、キスしてる時が俺の幸せだったてな。よーし、行くぞ野郎ども。くれぐれも、狼の邪魔はするんじゃねえぞ。騎士団の意地を見せてやろう」
シュバイツと騎士団は出陣した。




