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グラッド王国英雄譚

 これは成田蓮がキルギス村に転移してくる150年程前のお話。


 当時、グラッド王国で騎士団長をしていた優男シナギ・コトハールに天空神より天命が下った。


「クルド村に常闇の生みし魔王の卵、アークデーモンが現れる。私は君にそれを撃つ力を授けよう」

「ありがとうございます。天空神様」

 

 シナギは自慢の天剣エクスカリバーに強力な雷を宿す力と自身の身体能力を強化された。


 シナギが騎士団500人と共にクルド村を訪れると、そこはもう惨劇の渦中であった。村人は巨大な翼をはためかせる10メートルはあろうかと思われる真っ黒い怪物に老若男女片っ端から捕まり喰われていた。まさに、村中が阿鼻叫喚地獄であった。


「これはまずいぞ、今すぐに村人の命を助けねば。我が命にかけてもアークデーモンを倒す。騎士団よ、私に続いてくれ。天空神様のご加護のままに」

 

 シナギと騎士団はアークデーモンに果敢に突撃した。


 シナギの雷を纏いし天剣エクスカリバーが襲いくるアークデーモンの強力な爪の一撃と激突し、辺りは爆風に包まれる。それに巻き込まれた騎士団達が無惨にも命を散らしていく。


 シナギとアークデーモンの攻防は熾烈を極めた。アークデーモンの吐く闇のブレスとエクスカリバーが放つ雷がぶつかり合う。その度に村人や騎士団は命を散らした。


 戦いは5時間にも及んだ。結果はシナギが競り勝った。戦いの最中、アークデーモンの真っ黒い身体が徐々に収縮していったのだ。最終的にアークデーモンは消え去った。


 しかし、村人の死者は2000人中1800人。生き残った騎士団は30人程。


 シナギは天命を果たしたが、その精神は深く傷ついた。自分を慕い付いてきてくれた騎士団員の死はシナギを絶望の淵へと追いやった。シナギは天に嘆いた。


「ああ、天空神様。何故、私に騎士団と村人を守る力を授けてくださらなかったのか。これでは、これでは報われない」

 

 シナギに天から声が響いた。


「私の授けた力は、アークデーモンを撃つ力。ただそれだけだ」

 

 それを聞いたシナギはガックリと項垂れた。


「暁の天雷の奴め、人間の駒を使い、なんとか我が因果を乗り切ったか。まあ、よい。また因果を組めばよいこと」

 

 常闇の因果の主は呟いた。


 この話はグラッド王国のボードゲーム、騎士団と魔王の由来でもある。

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