キルギス村の祭り②(最期のコメディー)
俺はマシュー君と2人で祭りを楽しんでいた。
ものは試しにと吟遊詩人の歌を2人で聞いてみたら思いの他良かった。物哀しいメロディーに哀愁漂う詩。久しぶりに切ない気持ちになってしまった。まるでこれから哀しみが訪れるかのような感覚。マシュー君と二人見つめあってしまった。
思えば、楽しかったな、この8ヶ月くらい。本当に楽しかった。いろんな意味で自分を解放することができた。29才にして初めて青春を味わった感じがする。いろいろなイタズラをしたなー主にバルガスに。バルガス怒りまくったっけ。
俺はいたずらの数々を思い出しながら出店で買ったクレープのような物を食べていた。
「レンさん、もう子供じゃないんですから」
マシュー君がそう言って俺の頬についた生クリームを指ですくうとそれをペロリと舐めた。
そんなマシュー君を見て、俺はドキドキしてしまった。
内緒だけど。
チヒロの出店でその出来事は起きた。
防衛団のジャックスが仲間のマイケルとスイフトと何やら大声で話していた。
「俺はよお、厄災が終わったらマリアに告白するぜ」
ジャックスがそう言ったのを俺は聞いてしまった。
完璧に死亡フラグだよ、それは。
「やめるんだ、ジャックス。告白なんてしちゃいけない」
気付けば俺は叫んでいた。
死んでしまうぞ、ジャックス。
「なんだ、レン。どういうことだ。テメーがマリアとたまに飲み歩いてんのこっちは知ってるんだ、テメーはチヒロとも仲良くしやがって。俺の恋路を邪魔すんじゃねー」
「違うんだ、ジャックス。俺はチヒロともマリアともそんな関係じゃない。お前のことを心配して言ったんだ」
「うるせー大きなお節介だ。俺が振られるてっか、そんな心配してもらいたくねーな。俺は何が何でも告白を決行するぜ。行くぞマイケル、スイフト」
ジャックスはそう言い放つと人混みに姿を消した。
俺はがっくりと項垂れた。




