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制裁

少しでも楽しく感じて頂けたら嬉しいです。

 それは野営での夕食時に起きた。

 

 マシュー君がどうしても干し肉に佃煮海苔をつけて食べてみたいと俺にねだってきたのだ。

 ここで俺は本当に調子に乗ってしまった。マシュー君を笑わせようと愚行を犯してしまった。

 

 もしかしたら俺は錯乱していたのかもしれない。


「ベチョ」

 

 気付けば、俺はバルガスのハゲ頭に佃煮海苔を出していた。


「あっ、レンさん、あなたという人はなんということを」

 

 マシュー君は笑うどころか悲痛な顔をして言った。


「おっ、なんだこりゃ、おい、これは前にもやられたことあるぞ。あん時は村中の奴らに笑われ、とんだ赤っ恥かいたが。まさか、あん時もテメーの仕業だったか、レン」

 

 バルガスは頭の佃煮海苔を手で払いながら、凄い形相で怒鳴った。マジ怒りである。


「そっそれはですね。バルガスさんの頭にハエが止まってたから追い払おうと思いましてですね。悪意ではなく善意ある行動でして」

 

 俺はもうしどろもどろに言い訳するしかなかった。


「テメー、俺の頭にハエが止まってただと。尚更、頭くるじゃねえか。俺の頭はハエが止まりやすいってか。そんな嘘つきやがって。男らしくねえなレン、ここは俺にボコボコにされて解決だ。鉄拳制裁ってやつだ」

 

 バルガスは拳をボキボキさせながら俺に近づいてきた。


「バルガスさん、待って下さい。ここはバルガスさんと僕の仲ということで鉄拳制裁だけは勘弁してやって下さい。いたずら好きなただの子供なんですレンさんという人は。ですから、ここはキルギス村に古くから伝わるいたずらっ子制裁の伝統、お尻叩きの刑でお許し下さい」

 

 マシュー君が言った。


「マシューがそこまで言うなら、まあそれで許してやってもいいがな。じゃあ、レン、ズボン脱いで尻だせ」

 

 バルガスは渋々と言った。


「ま、ま、待って下さいませ。な、生尻ですか?それだけはどうかご勘弁を。ワタクシ齢もうすぐ30を迎えます。そのような生き恥だけは何卒、何卒、ご、ご勘弁を。本当にお許し下さいませ」

 

 俺は土下座をしていた。


「レンさん、覚悟を決めて下さいよ。あなたのやったことはそれくらい罪深いもんなんです。バルガスさんの恥部を弄んだんです。それを尻叩きで許してくださるっていうんですから」

 

 マシュー君は冷たく言い放った。


「そういうこった。マシュー、俺が抱えるからお前、レンの尻思いっきりぶっ叩いてやれ。しょうがねえ、今回はズボンの上からで勘弁してやらぁ」

 

 そう言うやいなやバルガスは俺を肩の上に抱き抱えた。


「ひーー、セクシュアルハラスメントー」

「ガリガリ野郎が何言ってやがんだ、もっと栄養あるもん食え、さあやれ、マシュー」

「いきますよ、レンさん。せーの、いたずらっ子退散ー」

「バシン」

「いたずらっ子退散ー」

「バシン」

「いたずらっ子退散ー」

「バシン」


「ヒーン、もう許してよー」

 

 俺は泣いていた。


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