第35話 落ちてきた少女
不時着した飛行機に乗っていた、パイロットの少女。
簡単な自己診断を行い、体のあちこちに強く打ち付けたダメージがあったため、回復するまで少し休んでいた。幸いにして、骨折などの重傷には至っていなかったため、そこまで深刻な状態というわけではない。
しかし、それは彼女の体に限った話であり……彼女が乗ってきた飛行機、及び今のこの状況そのものを考えると、話は違ってくる。
「さすがにもう飛べないよね……。燃料はまだあるけど、滑走路ないし、そもそも壊れてるし……どうしよ……」
わかりやすく落ち込んだトーンの声で呟きながら、少女は操縦席から、風防ごしに自分の乗っている機体を見回す。
見た限りでは、そこまで大きな破損はないように見えるが……少なくともこの通り、飛行不可能になって不時着を余儀なくされるほどの破損は、どこかしらに確実に負わされている。たとえ滑走路があったとしても、また飛びあがることはできないだろう。
少女は次に、座席の下に入れていたらしい鞄から、地図を取り出して大きく広げる。
「……ここまでは飛んだ。で、推定で……風向きがこう、天候が……とすると、位置が……残りの距離はつまり……あ、よかった。思ったより近いかも…………っ!?」
その最中、少女の耳に、ギャアギャアと耳障りな鳴き声のようなものが聞こえてくる。
とっさに彼女は、まだ痛む体に鞭打って操縦席から脱出し、ほとんど転げ落ちるように機体から飛び降りた。そして、その下に潜り込んで身を隠す。
そのわずか数秒後、機体の上に、空から大きな影が下りた。
「最悪……ここまで追って来たの!? しつこすぎでしょ……ッ!」
上空を、数匹の巨大な鳥が飛んでいる。まるで、獲物を狙うハゲタカのように、獲物が弱って死ぬのを上空で待っているかのように、群れを成して旋回している。
しかしその鳥達は、厳密には鳥ではなく『クリーチャー』である。
さらに言えば、獲物の死を待っているわけでもない。そもそもそんな悠長なことはしない。
ただ単に、狙っている『獲物』の姿が見当たらないがゆえに、上空からその姿を探しているだけだ……機体の下に隠れて、間一髪で彼らの目を逃れた少女を。
少女は息を殺し、体を小さく折りたたんで、服の端1つも機体の外側にはみ出さないよう、彼らの目につかないようにして、じっと待つ。
武器がないわけではないが、相手は中~大型のクリーチャーだ。懐に入っている拳銃では、撃って当てても到底痛打にはなりえないだろう。
かといって、未だあちこちが痛むこの体では、走って逃げることはできない。
……そもそも、飛行機を追尾してくるほどの速さで飛ぶ鳥が相手だ。障害物が多い林の中とはいえ、足で逃げるなど無理だろう。
見つかれば、末路はわかり切っている。少女にできることは、隠れてやり過ごすことのみ。
(こっち来るな……降りてくるな……早く、早くあっち行けー……)
クリーチャーという存在は、総じてしつこい存在である。一度狙った獲物を諦めることはそうそうない。特に、それが自分の縄張りに入り込んできたような者である場合は。
ただでさえ望み薄、あきらめるとしてもかなり時間がかかるだろうと内心覚悟しつつ、その鳥達がいなくなるのを待っていた少女だったが、その心臓に悪い時間は、予想とは違う形で終わりを告げた。
何やら遠くの方から、木が倒れるような音が聞こえて来たかと思うと、続けて響いたのは、甲高く子気味のいい、爆竹が破裂するような音……発砲音。
それも、1発や2発ではなく、立て続けに何発も。
上空を飛んでいた鳥型クリーチャーの何羽かが一瞬体勢を崩すが、それで落ちてくるようなことはなかった。すぐに姿勢を元に戻し……その音が聞こえた方に飛んでいく。
ものの数秒で、わかりやすく去って行った『危機』を前に、しばしの間彼女は唖然としていたが、すぐに状況を冷静に考え始める。
(えっと……今のは明らかに発砲音。つまりは誰か人間による攻撃ってことよね? 誰かが助けてくれたの? でも、今の音は……AWの兵装みたいな大口径の砲弾じゃないわ、せいぜい拳銃か、短機関銃ってところ……。助かったけど、撃った人大丈夫かしら……?)
意図してのことかどうかはわからないにせよ、結果的に脅威を取り去ってくれた、顔も知らぬ誰かの身を案じつつ、そのまましばらく待つ少女。
すると今度は、同時にいくつもの音が聞こえ始めた。
クリーチャー達のけたたましい鳴き声と共に、
バサバサという、鳥が翼を派手に動かして羽ばたくような音、
キィン、キィン、という、金属同士がぶつかり合うような硬質な音、
さらには、木がメキメキと音を立てて倒されるような音、と振動すらも。
状況からして、戦闘ではないかとあたりをつける少女だが、奇妙なことに、その音の中に、先程聞こえたような発砲音は1つも聞こえなかった。
不思議に思って、恐る恐る少女が機体の下から顔を出す。
するとその視線の先では、少し離れたところの木立の向こうにいる『何か』を襲おうと、足の鋭い爪を向けて急降下していくクリーチャーが見え……しかし次の瞬間、振るわれた巨大な尻尾のような何かに叩き落された。
驚く暇もなく、その直後には、別な1羽が……これも木立に遮られてよくは見えなかったが、巨大な鋏、あるいは顎のようなものに捕らわれて引きずりおろされる様子が見えた。
(……え、何今の……別のクリーチャー? でも、さっきのは確かに発砲音だった……)
先程のは聞き間違いだったのかと、自分の記憶を疑い始めた彼女の耳に、今度はまた、確かに発砲音が聞こえた。
しかも、先程のそれよりもかなり大きな、大口径の砲弾が放たれたと思しきそれだ。
そして目の前で、また1羽、クリーチャーの鳥が落ちる。少女の目には、翼に大穴が開いたように見えたことから、今の音はやはり発砲……というよりは砲撃音か、とあたりをつけた。
しかし、それでも新手のクリーチャーによる襲撃の可能性は消えない以上、こうして顔を出しているのはまだまずいか、と少女は思い直して、機体の下に戻ろうとし……しかし、それは少しだけ遅かった。
空の上で、同族が次々と落とされていく中、残っていた最後の2羽。
そのうちの1羽の目が、偶然こちらに向いて……目が合った。
「……っ!? しまっ……私のバカ!」
まずい、と思った時にはもう遅い。
飛行型のクリーチャーは、上空から地上の獲物を探せるように、視力が発達している種が多く、この鳥もその例には漏れなかった。一瞬だけ目に映った景色の中で、今自分の真下にいるアレよりも楽に仕留められそうな、小さな獲物を、その目は見事にとらえていた。
即座に狙いを変えて、一直線にこちらに飛んでくる。そしてそれを追うように、残るもう1羽もこちらへ向かって来た。
(……ちくしょうッ、ここまで来て!)
迂闊だった自分とこの状況、両方に心の中で悪態をつきつつ、少女は再び飛行機の機体の下にもぐった。
隠れるという形にはできないが、地面と機体(不時着の際に一部が木に引っかかっている)の間には、人間ならどうにか入れるが、あの鳥には狭すぎる程度の隙間があった。機体を遮蔽物代わりにして身を守ろうというとっさの考えだった。
それなりにあったはずの距離はまたたく間にゼロになる。わずか数秒で、少女から数mと離れていないところに、巨鳥は舞い降りた。黒灰色の羽毛に覆われた翼を大きく広げ、威嚇するように耳障りな鳴き声を上げる。
少女は懐から拳銃を取り出す。こんなものでは身を守れないことは、先程も考えてわかっていたが、それでも無抵抗でやられるよりはと考え、撃鉄を起こして銃口を向けた……その時。
横合いから現れた巨大な口が、鳥型のクリーチャーに食らいつき……目の前から一瞬でその巨体をかっさらった。
「………………ぇ?」
思わず少女がその姿を目で追うと……そこにいたのは……ある意味で、クリーチャーよりも信じがたい、頭が理解を拒否するような光景。
巨大な顎に鳥型のクリーチャーをくわえて噛み殺し、もう1羽を強靭な足で踏み潰して仕留めていた……機械仕掛けの暴君龍が、そこにいた。
今まさに自分を食い殺そうとしていた鳥を仕留めてくれたはいいが……言っては何だが、鳥より数段恐ろしく見えるその怪物を前に、少女は呆然とし……
(わ、私……助かってる、の? コレ……?)
心労と疲労が限界に達したか……自分でもそれに気づくことなく、意識が遠のいていった。
☆☆☆
時はほんの少しさかのぼり……『子気味のいい破裂音』が木立に響いた直後のこと。
『レックス』の操縦席で、アキラはガッツポーズをしていた。
「よっし、命中……でもいいんすかハル? もっと大口径の実弾もあるし、そっちで撃った方がダメージになったんじゃ?」
「いいんだよ、アレ多分、落ちた飛行機の真上にいるだろうから、あそこで撃ち落とすと飛行機に落ちるから下手すると。それよりも、痛いけど飛び続けはできる程度の威力で突っつけば……ほらこっち来た。よし、今度は仕留めるぞ」
わざと殺傷力の低い小口径の弾丸で『挑発』し、まんまと自分達の側へひきつけることに成功したハルキは、襲ってくるクリーチャーを、1羽、また1羽と返り討ちにしていく。
周囲が林なので熱エネルギー系の兵装は使えない。しかし、爪で切り裂き、牙で食らいつき、尾で薙ぎ払えば、それだけで簡単に鳥達を叩き落せた。
警戒して近づいてこなくなった者に対しては、ここで改めて大口径の実弾をお見舞いする。
「うっし、命中!」
「ほー、一発か……大したもんだなアキ。練習とかしてたのか?」
轟音と共に背中の砲身から放たれた砲弾(エネルギー弾ではなく実弾)が命中、翼に大穴を開けて堕ちていく鳥を見て、感心したようにハルキは言う。
「時間見つけて、セリアとロイドに教わってたんすよ、射撃のコツ。シミュレーターとか、動かない的相手の射撃だけじゃなく、実戦でも使えてよかったっす」
『レックス』の武装管制担当の面目躍如とばかりに胸を張るアキラ。
その腕前と、それ以上に努力に素直に感心しつつ、ハルキはハルキで、向かってくる鳥達を物理的に叩き落し続け……しかし目の前で、突然それまでと違う動きを見せた鳥に、鋭敏に反応する。
(? 逃げた? いや、あの方向は……なるほど、そういうことか)
直後、木々がなぎ倒されるのも構わずレックスを走らせ、2羽の鳥を追う。
すると木立の向こうに、案の定……彼らが喜びそうな『餌』の存在が確認できた。
木々に突っ込んで、地面に落ちない程度の位置で止まっている『飛行機』。その下にできた隙間に、恐らくはそのパイロットであろう人影が見える。
暗い影になっていて、いまいちどんな人物かは見えづらいが、ひとまず人の形をしていることくらいはわかったので、ハルキは今はそれで良しとした。
同時に、シドに『可能ならば接触する』と言われていた対象を殺させないため、『レックス』に思いきり強く地面を蹴らせて前に出ると、まず手前にいた1羽をそのまま踏み潰す。
そしてもう1羽に、首を伸ばしてその強靭な顎で食らいつく。
さながら本物の肉食恐竜のように、何本もの牙をクリーチャーの体に突き立て、そのまま骨を、内臓を噛み潰し、砕く。びくびくっ、と少しだけ痙攣するように震えて、動かなくなる鳥。
生命反応がきちんと消えたことを確認してから、ぺっと吐き出すように鳥の死骸を足元に捨てる。
それと同時に、器用に木立を抜けて、シドの乗るブラムスターが到着した。
「状況は?」
「露払いは完了。パイロットも無事。多分、その機体の下にいる奴だと……思うんだが……」
そこまで言って口ごもるハルキ。
戦闘が終了し、飛行機の下に隠れている人をズームでよく見る余裕ができたのはいいが……そこでどうやら気絶しているのは、線の細い少女だった。
意外と言えば意外だが、この時代、能力と本人のやる気さえあれば、少年兵が登用されることなど珍しくもない。現に自分達も、特殊な立場とは言え軍に籍を置く身であるし、同じ隊には他にも20歳にならない軍人がいる。
であれば、飛行機のパイロットがこの少女であっても、特に何も問題というわけではない。
ただ、以前読んだ本で、飛行機は高速で移動するがゆえにかなりのGが体に負荷としてかかり、鍛え上げられた成人男性であってもきついと感じることが多い、という記述があったことから、こんな線の細い女の子が、という驚きがあったのは事実だった。
「気絶してるっぽいっすね。どうするっすか、副隊長?」
「ひとまず救助して運ぶぞ。そこにほっといたら、何かの拍子にその機体が落ちて来た時に間違いなく死ぬし、ケガしてねえか確認も必要だ。メリル、応急処置の用意しとけ」
『了かーい……ってアレ? 名前で呼んだってことは、警戒態勢は解除?』
「敵がいなくなったからな。ハルキ、アキラ、お前らは……この機体、引っかかってる木から取り外して運べるか? 流石にこの大きさだと、『ブラムスター』でも1台じゃ難しそうだ」
「んー……行けると思うけど、構造的に難しそうだな。ああでも、人型に変形すれば……」
☆☆☆
その後、シドが少女を回収し、集合場所に待機させていた護送車両まで運び、そのシートの一部を倒してベッド代わりにして寝かせた。
指示通り待機していたメリルが、衛生兵のスキルを生かして簡易的な診察を行った結果、全身を打っているが特に命に関わるようなケガではなく、簡単な応急処置で十分、との診断だった。
ここは任せて大丈夫だと判断したシドは、少女への処置をメリルに任せ、他のメンバーと共に、この現場の後始末という仕事に戻った。
そして処置が終わるころ、どうにか飛行機……というよりは戦闘機に近いであろうそれを、引っかかった木々から壊さないように取り外して、ハルキとアキラが戻ってきた。
護送車に顔を出し、保護した少女の様子を見に来た2人に対し、メリルは口元に人差し指をあてて『静かに』とジェスチャーで伝える。
「まだ寝てるから静かにしてあげて。一応怪我人だし」
「おう、了解。まだ起きなそうなのか?」
「パッと見は大したことなさそうっすけどね」
件の少女は、上着1枚を脱がされた状態で横になっていた。
目を閉じて動かず、胸をゆっくりと上下させているその姿は、普通に眠っているだけのように見える。流血を伴うような傷を負っているわけではないのもあり、ちらっと見ただけでは、手当を受けている怪我人であるとはわからないだろう。
それでも、速度自体はあまり出ていなかったとはいえ、飛行機で墜落、ないしそれに近い状態になったのだ。
診察の結果は大事なさそうではあるが、念のため安静に、というのは間違った対処ではないだろう。仮にも空から落ちたのだから、今はわからずとも、骨にひびくらいなら入っていてもおかしくない。
脱がせた上着は、簡単に折りたたんで脇に置かれているが、そこに置かれているのは上着だけではない。
拳銃やナイフ、手帳に小型無線機、その他諸々。
いかにも『持ち物検査で押収しました』という感じのラインナップである。処置の邪魔だったのに加え、まだ彼女の素性その他を確かめられていないことから、念のため、武器等に関しては押収してあったようだ。
そのうちの1つ……黒光りする拳銃に目を止める。
保護したまさにその時に(気絶していたが)手に持っていたものだ。
「こんなもん持ってるってことは……いやそれ以前に、あんな飛行機に乗ってきてんだから、やっぱどこぞのフォートの軍人か何かだよな?」
「たぶんね。軍服にエンブレムが入ってたから、所属フォートは後で調べればわかるかも。あと、まだ見てないけど、そのポーチバッグの中にIDくらいなら入ってそうじゃない?」
「勝手に開けちゃっていいんすかね? 後で文句言われたり、問題になったり……」
「非常事態だし、仕方ないと思うが……こっちとしても、色々対応決めるのに、身元くらいはわからないとだしな。本人起きるの待ってもいいけど、いつになるか……ん?」
安全のため、弾倉が外された状態の拳銃を眺めるように見るハルキ。
特段この手のものに詳しいわけではないため、ヴォーダトロンで軍が使っているそれとはデザインが違うな、ということくらいしかわからないが、手に取って見ているうちに、あることに気づく。
ハルキは、ことり、とその場に拳銃を置いて、『あーそう言えば』と、何かふと思いだしたような調子でメリル達に話しかける。
「メリル、アキラ、さっきの……この子が乗ってきたと思しき飛行機なんだけどさ。ホラ、木から外す時にミスって翼へし折れちゃったじゃん? あれもう飛べないだろうから、推進機関とか分解して使えるところを……」
「ちょっと待って何してんの!? 私の三式…………あっ」
がばっ、と、飛び起きる少女。
きょとんとした目を向ける、アキラとメリル。
そして、『やっぱり』といった感じの目になっているハルキ。
自分に集中する三者の視線……こと、ハルキのそれを見て、自分が置かれた状況を把握した少女は、わかりやすく『やってもうた』という感じの顔になった。
(やっぱり起きてたか)
「ああ、安心しなよ。飛行機はきちんと、どこも壊さずに木から降ろして回収してあるから。まあ……墜落した時に壊れた箇所があるかまでは知らんけど」
「……ありがと」
単純な引っ掛けにまんまと乗せられて、様子見のための狸寝入りをおじゃんにされて悔しいやら気まずいやら、飛行機が無事でよかったやら、色々な感情や思考が入り混じらせて顔を赤くしている少女だった。
その数分後。
少女が起きた、という報告を受けて、作業指揮をひと段落させたシドが、残りの指示をセリアに任せて、少女の元を訪れた。
新たに現れた、大柄で見るからに頑強そうな男性を前に、わずかに身をこわばらせる少女。
しかし、おどおどしたり怖がる様子はなく……少し息を整えた後は、むしろ背筋を伸ばして堂々としている。肝は座っているようだ、とシドは内心少し感心していた。
「……あなたが、ここのリーダーですか?」
「そうだ。フォート『ヴォーダトロン』総司令部、第7特務部隊副隊長のシドだ。そういうあんたは、あの飛行機のパイロット……で合ってるな?」
「はい、あれは私の機体です。飛行途中に鳥型のクリーチャーに襲撃を受けて飛行機能に問題が生じたため、不時着しました。助けていただいたようで、感謝します。同時に……結果的にあれらを引き連れてきてしまった形になって、お騒がせしてしまったことはお詫びします」
先程と違って――先程は起きた直後な上、聞こえて来た話の内容ゆえに冷静でなかったのもあるだろうが――姿勢と同様に、堂々としていて、かつ丁寧な口調。
待っすぐ目を見てそらさず、淀みなくはきはきと応答する少女に、シドは続けて問う。
「所属と名前、それにここに来た目的は? 軍服と機体に入っていたエンブレムからして、どこかのフォート所属の軍人、あるいはそれに準ずる立場と見受けるが」
その問いに、少女はふぅ、と今一度息を整えて、
「フォート『サラセニア』航空隊所属、マリカ・キヴァリー少尉です。同司令部の命令により、『ヴォーダトロン』に救援要請のために参りました!」




