1話:いつもの日々
醜さ、誹謗中傷、傷つけ合い、自殺——。
様々な生を拒む言葉。中には“生きたくない”という人もいるだろう。そんな日常の中で傷つけ傷つけられての繰り返しの生活。普通の人ならばこれは嫌だと思うだろう。然し、この話は鬱病のひとのこれから死ぬまでの話。
5/7 8:00。この日は学校だ。
「はぁ…学校…やだな」
そんな愚痴を零すのは、高橋大輔である。彼は鬱病で、医師から「君は重症だね」と言われるほどだ。
「早く準備しなさーい。遅刻するわよー」
「チッ。煩えな」
母の声ですらストレスがたまる。
然し、学校に行かないと単位が落ちてしまうので、渋々準備して、学校に向かう。
(なんで僕は生きているんだ?抑、生きる必要なんてある?)
何時もこのことを考えてしまう。如何して?
「はぁ…」
鬱病だと、何もが楽しく感じない。つまらない。何やっても上手くいかないし、失敗はしでかすし、すぐに物が壊れてしまう。如何して?ねえ、如何して?
「おはよう!」
明るく話しかけてきた女子は高杉町という名前で、周りからも親しまれている。
(はぁ…またか…なんで話しかけてくるの?鬱陶しいのに)
じっと見つめられた町は、驚いた様に大輔を見る。
「どうしたの?」
「あ、いや別に。なんでも…ない…」
「?」
疑問に思う町。然し何でもない、と答える大輔。この会話ですら大輔にとってはうんざりなのだ。それは「今すぐにどっかいってくれ」と思うほど。
「今日もいい天気だねぇ」
そんなことはお構いなしに話す町。あざとくてうざい。寧ろ、話しかけてくんな、と思うほど。
「……何で僕に話しかけてくるの?…正直、鬱陶しいから、どっかいってくれない?」
(言いたいことは言った。さぁ、どっか行け。今すぐに)
「君もかわらないね。なんで?」
(いやいやいや。なんでそうなるの?どっか行ってって日本語が通じないのか?)
潡々酷い方に曲解されていく。鬱病って、こんなひとの扱い雑なん?よくわかんね。
そうこうしてるうちに教室に到着。ついでに逃げてきた。…はずだった。
「ほら、授業の準備しないと」
(…なんかいるし。ついてきたのか…えー…怠い…)
ついてきたらしい。それも何もかも鬱陶しい。消えてくれ。と思う。
そうした面倒臭い1日が始まる。