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6 宣誓

 お久しぶりです。

 生原稿をそのまま載せている感がすごいです。申し訳ありません。


「私が殿下を今よりいい男にさせてみせますわ!」

高らかに宣言した言葉に殿下は呆気にとられた表情を見せる。

 傲慢王子のこんな顔が見られるに至ったのは、我が婚約者らしき王子と二人きりになって数分後の事だった。


 執事に下げられた椅子に仕方なく座り、表情筋を駆使して微笑みを王子に返したところまでは良い。そこまでは想定の範囲内だ。

 しかしその次の瞬間、正しくは王子が言葉を発してから私の想定からどんどんと路線が変わっていく。


「お前、俺の婚約者なんて光栄だろ?泣いて喜んでもいいんだぞ」

「はい?」


 思わず出た返答が令嬢らしさの欠片もなかったことは謝罪する。謝罪するがもっと大きな問題あったよね?


「この国一番の天才であり尊く優秀で偉い俺様の女になれるんだぞ。光栄だろ」

椅子にふんぞり返り馬鹿にしたような目線で見てくるこの男はなんだ?

そして頭の中の何かと重なる。俺様何様ソータ様。

今まで描いていた男性像が打ち砕かれていく感覚。

二次元と三次元の境目があやふやになるような、地に足付かない浮遊感。

目の前の存在に対する嫌悪感。


「俺様はこの国一番のいい男だからな。お前も見た目はそこそこみたいだが、俺のような偉大な存在をお前が独り占めするというのはいただけないよな?世界的損失だ。まぁ、見た目は悪くないから隣には置いてやるよ。俺様が飽きないようにせいぜい頑張れよ?」


 現実を受け入れられない間にもなんか喋っているけどもうろくに入ってこない。というか真面目に聞く気を失くした。

 気持ち悪さから逃れたくて思考を回し続けた結果、ある結論に思い至る。

 

 こいつを正真正銘「いい男」にすれば、私のこの一時的な転生期間は楽しく過ごせるんじゃないか。


 正直なんの解決にもなってないなとは思うが、やっぱ人生どんな時も楽しまないと勿体ないし。

 そう思えば目の前のこのくそ高慢ちき王子も教育のし甲斐のある手のかかる子どもに見えて可愛げが見えてこなくもない。

 私は教師、彼は生徒、寛大に寛大に。

 うん、楽しくなりそうだ。そうと決まれば、とカップを置き立ち上がって私は王子に宣言する。 


「私が殿下を今よりいい男にさせてみせますわ!」

 殿下の表情に少し気分が良くなりさらに続ける。

「どこに出しても恥ずかしくないような完璧な男性に致しますから、お覚悟あそばせ?」

にやりという効果音が付きそうな笑顔を殿下に向けると、相変わらず呆気にとられた表情をしていた。しばらく見つめていると、ようやく私の言葉を理解したのかふっと息を噴きだしたかと思えば突然大笑いをし始めた。

「ふっ……あはっ、あははっはははははっ!お前、面白いな」

腹抱えて笑い出した殿下に今度はこっちが呆気にとられる番だった。どうした。壊れたのか。

「殿下、お体の具合でも悪いのですか?」

「お前な……まぁいい。気に入ったから私の婚約者として認めてやっても良いぞ」

「そのような高圧的な態度では女性からの反感は免れませんわ。一国の主に連なる方がこれでは、王様も頭の痛いことでしょう」

「おい。不敬だぞ」

「女性差別撤廃は現国王様の政策の三本柱が一つ。この政策があると知りながらそれに反するような言葉を述べる殿下は国家反逆罪ですわ」

「はぁっ?何難しい事を言って逃げようったってそうはいかないぞ」

「難しい事を言っているつもりはございませんが……殿下の家庭教師はそこまで教えることを控えているのですね。殿下の学習態度が伺えますわ」

「さっきから何の話をしているのだ。いいから謝れ!」

「何に対して謝れと仰るのですか?私には思い当たらないのですが」

「俺へのその失礼な態度だ!」

「主が道を外れそうになったら諫めるのが傍にいるものの義務ですわ。そのことにおいて私が恥じることなど何一つしておりません」

「貴様、この俺に反抗するのか」

「諫めているだけですが」

「うるさい!俺に命令するな!お前の顔など、二度と見たくない」



 このまま殿下の命令に沿ってしまえば、身の安全は保障される。ここでの言い争いも、傍に控える執事や護衛に聞けば、私が責められることはないだろう。だけど、それでいいのだろうか。殿下が結ばれる運命の相手は「アヤ」だけだ。他の人がその間に割って入ることなどできない。だが、今の殿下では他の女性が上手くやればコロリと落ちてしまいそうだし、他人の思惑に傀儡になることもあり得る。こんな幼いうちにそんな心配することないかもしれないが、念には念を、である。二人を脅かすどんな事柄も退けるべきなのだ。不安要素を取り除くなら、私が近くにいたほうが安心である。



「お待ちください、殿下」

「今更謝ったところでもう遅いぞ」

「お待ちください。殿下はもしや、そのまま婚約の話を白紙に戻そうとしていらっしゃるのではありませんか」

「何を分かり切ったことを。今になって婚約者の座が惜しくなったのか」

「はい?」

「お前は見目は良いから、誠心誠意俺に謝罪すれば、婚約者の座に置いてやってもいいぞ」

「……殿下は私が隣にいても良いとお思いなのですか」

「俺への不敬な態度さえなければ文句はない」

「では、殿下が相応しいと思われる婚約相手殿が現れるまで、私がお守り差し上げますわ」

「私が年下に守られるような器だと言いたいのか。お前はどこまで私をコケにすれば……」

「違いますわ。女には女の領分がございます。殿下はとても魅力的な方ですから、多くの女性は殿下にお近づきになりたいと思うものですの」

「知っている。お前のように、だろ」

「私のように当てはまらない方ももちろんいらっしゃいます。この機会ですので言わせていただきますが、私は殿下と生涯を共にしたい、まして殿下に寵愛を求めることなどありませんからご安心ください」

「なっ」

「その上で、殿下が本当に愛しく思う方が現れたときに、他の女性が不用意に入れないよう止める役割が必要です」

「どういうことだ」

「私に殿下の恋路を応援させていただけませんか、と申しております」

「なんのつもりだ」

「他意はありません。本日お会いして、殿下のお近くには都合がよく動く女性が必要だと感じましたので、立候補いたしました」

「所詮お前も女か」


殿下の言葉に一つ溜息を吐き、これは言葉で言っても理解されそうにないなと思い、一時しのぎでいいかと割り切る。

生原稿そのまま掲載編が続くと思われます。

現在レポートも書けない文渇状態です。

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