5 婚約者との出会い
お久しぶりの投稿になってしまい申し訳ありません。
フェレールはすべてフィレーネに統一しております。
その日は突然来た。フィレーネがいつも通り起きると母がドタバタと走り回り、家の中がなんだか慌ただしかった。
そして私が起きたことがメイドに見つかるとあれよあれよという間に身支度をされて気が付いた時には完璧なお嬢様姿になり馬車に乗せられていた。
馬車の中には既に完璧な正装をした両親が待っていた。訳も分からず発車した場所の中で、「これからあなたの婚約者に会いに行くのよ」といたずらが成功した子供みたいな表情で母に言われた。ちゃんと理解できないまま馬車は目的地へ到着した。
「アルベルト国王ロベルト・フォン・アルベルトの第三子、ソータ・フォン・アルベルトです。この度はご来訪頂きありがとうございます」
丁寧な挨拶と共に頭を下げる見目麗しき若君こそ、我が婚約者殿らしい。
「ラベルト公爵家ベルト・デン・ラベルトが長女、フィレーネ・デン・ラベルトでございます。この度はお招きいただき有難く存じます」
しっかりと目を見つめかえし丁寧にお辞儀を返す。
お父様をチラリと伺えば頷きが返って来たので合格点という所だろう。
そこからしばらくはお互いの家の近況報告のようなものを大人同士がする。殿下の隣で父と話しているのは、宰相のジルクラドさんだろう。父と同じ世代らしく、親しい様子が話を聞いているだけで伝わってくる。
「本日は陛下も王妃様も外せない用事でして」
「気にしないでくれ。それに二人からは事前に話は聞いている。お前は相変わらず堅いな」
「ベルトがくだけ過ぎなんですよ。プライベートなこととはいえ、これは正式な顔合わせですからね」
その間私はできることもないので改めて王子を眺める。光に溶けそうな淡い金髪がふわふわと少しの風に揺れている。絹の糸のように滑らかで、天使の輪ももちろん見える。瞳は雲一つないような空色で、肌は透き通るように白い。純白の正装に身を包んだその姿は、純度100%の正真正銘王子様だ。整った顔は、見ているだけで現実感を失わせる。
ふと目が合うと、慣れた様子で微笑まれた。それが若干顎を上げて右の口角だけ上げるような、まるで他人を見下すような笑みだったのはきっと気のせいだろう。その後も私のてっぺんから足先までじろじろ見られていた気がするのもきっと気のせいだろう。まさかあんなお綺麗な顔をした王子様ともあろうお方が初対面の女性に対してそんな不敬な態度をとるはずがない。そう、きっと見間違いだ。
私が王子を観察している間に大人の会話は区切りがついたようで、父は私を振り返り
「というわけで私達はこれからちょっと用事で行く場所あるから、あとは二人で仲良くしてなさい」
「数時間で戻りますから、王宮や庭園の案内などをして差し上げると良いかと思います」
二人そろってそんな事を言って、メイドや侍従だけ残してさっさと立ち去ってしまった。あまりのブン投げぶりに言葉が出てこなかった。
いやもうちょっとあるだろ!初対面の異性と置き去りにされて仲良くできるようなスキル持ってないよ!
私の心の叫びは当然のごとく父には届かず、無情にも二人の姿は見えなくなる。
しばらくその場に沈黙が落ちる。
王子様を見れば、いつの間にか近くの椅子に腰かけてメイドに紅茶を頼んでいた。
父の対応からの王子のマイペースぶりに思考が完全に停止した。なんでこんな優雅にしてんだこいつ。案内しろとか言われてたくせに、動く気皆無じゃないか。
紅茶が運ばれて、一口口に含んだところで初めて気づいたように私に目を向けて声をかけてきた。
「君、そんなところで突っ立ってないで座ったらいいんじゃないか?」
王子の言葉に合わせて侍従さんが隣の椅子を引いてくれた。お気遣いは嬉しいですがそうじゃないですよ。
やっと冒頭に戻り、物語が動きそうなところまで来ました。
好きな場所ばかり書いていたら初めの方がスカスカで一から書くのに大分時間がかかってしまいました……。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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