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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶60

「おい、そんな湿気た面で何しているんだ。

ったく、ケイン中隊は、陰気臭い奴ばかりで困るな。

で、何か用事か?」

格納庫の空に通じる扉を開いて、朝日を見やりながらレオが悪態を付きつつ、不貞腐れる様に言った。

レオの視線の先にはケインが力無く佇んでいる。

「レオ。

君は昨日から寝ていないんだろう。

少し休め」

「そう言う戯言は聞き飽きたんだが。

そもそもお前らも」

と、遮る様にケインが言う。

「これを見付けた」

そう言って、差し出すのは焦げた2枚のカウルだった。

そして、そのカウルには黒地にそれぞれ白い縁取りで半分の蝶が描かれているのが見える。

「さっき、回収したばかりだ」

「どう言う事だ。

俺は、そんな下手な冗談聞きたくないぜ」

そう言ってレオは顔を背ける。

「これの近くに、2機の連邦国軍機の残骸も発見した」

「下らん!」

レオは吐き捨てる様に言う。

「兎に角、休め。

命令だ」

「分かったよ」

そう言って、振り返り、格納庫の奥へと向かって行く。

レオはそれを見送ると、通路へと歩き始めた。

「あぁ、くそ。

俺が小鳥の世話をしなけりゃいけなくなったじゃねぇか」

レオはそう言って、黒い小鳥を見やる。

小鳥は不思議そうにレオへと円らな瞳を向けた。

「おチビちゃんよ。

お前は不服かも知れんが、俺も不服だ。

大いに、な。

兎に角、一人前に飛べる様になったら里帰りだ」

その言葉が分かったのか、小鳥はぴー、と鳴いた。

「言葉が分かるのか、賢いな」

そう言って、腕に載せる。

「そうだ。

お前に一つ話をしてやる。

良いか、良く聞けよ」

そう言って、階段に腰を下ろす。

「ある4人組のパイロットの話だ。

あいつらは……。

そうだな。

なかでも『黒死蝶』と呼ばれたパイロットがいて、まず隊長が……。」


黒死蝶 終わり



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