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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶58

「テルシア!」

俺はこの時、大きく動揺した。

熱くなり過ぎたのだ。

いつも冷静であったと言うのに。

それが、生き残る為の術であると言うのに。

テルシアは、大きく姿勢を崩しながらもそれを避ける。

そこに漬け込む様に、俺の背後から追っていた機体が翻り、テルシアの背後から襲い掛かった。

「くそっ!」

悪態を付きながら、前方を見やる。

その時だった。

青白い閃光が、俺の機体の前面のカウルへと突き刺さった。

中の部品やコードが引き剥がされ、煙が上がる。

そして、小さな爆発が起こった。

目の前で炎が吹き上がり、飛ばされた部品が、ヘルメットに衝突する。

バイザーにボルトが突き刺さり亀裂が走る。

と、同時に右腕に機体の破片が突き刺さり、身を竦ませる激痛が腕を伝い脊髄を貫く。

幸い、それだけで済んだと言うのは幸運だっただろう。

機体諸共、木端微塵に吹き飛ぶ事は無かった。

しかし、迂闊だった。

テルシアに視線を向けた瞬間を狙撃されたのだ。

だが、まだ、飛べる。

視界がぼやける。

何か温かい物が左側の顔面を流れている。

ヘルメットのバイザーが割れ、その破片が飛んだのだろう。

だとしても、どうしようもない。

俺に追い撃ちを掛ける様に、今もなお、レーザーを浴びせ掛けられる。

フットバーを蹴り込んで、スライドさせながら避ける。

そして、レーザーを撃ち返す。

敵は一旦距離をとろうと一気に加速した。

俺は逃がさない様に、機体を加速させ、距離を縮める。

と、刹那。

敵が一気に機体を翻した。

それならば、と俺はスロットルを思い切り捻り込む。

吹飛ばされそうな程の衝撃。

敵の白銀の機体に自分の機体で体当たりして、レーザー掃射ボタンに指を掛けた。

相手のパイロットの顔が見える距離だ。

遮光バイザーによって表情は見えないが、俺が今これから何をしようとしているのかを悟ったようだ。

そのまま動かない。

白銀の機体にめり込んだカウル。

その先にあるレーザー掃射口から青白い閃光が迸る。

そして、それは白銀の機体の動力部を貫いた。

瞬時に、距離をとるが、それよりも早く、爆発が起こった。

白銀の機体はそのパイロットを巻き込んで部品単位に分解されて、熱と光を周囲にまき散らす。

時速に直すとどれ程の早さであろうか、爆発の威力によって吹き飛んだ部品の幾つかが、俺の機体へとめり込んだ。

強化金属で出来た部品の一部が、僅かな弧を描いて、横腹を抉る。

落雷を受けたような衝撃と激痛が腹部から身体中を走る。

声さえ出せない程の激痛。

それを必死に堪えながら、機体を翻した。



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