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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶5

「テルナ・アースティア。

いや、違う。

テスト・ラーディ。

うーん、これも違う…。

似てると思うんだけどなぁ」

未だに名前を思い出せないライトフライ。

「テリア・アスティーでは?」

途端、凛とした声が聞こえる。

「そうそう!

テリア・アスティー!

ふぅ、やっと思い出せました」

一仕事終えたような表情を浮かべつつ、ライトフライは言う。

「じゃなくて!

あ、この方です!!」

凛とした声のした方向。

格納庫に置かれたヴューレの間に佇んでいる人物を、まるで名探偵が犯人を名指しする様に人差し指を立てながら彼女は口を開く。

見れば一人の少女然とした人物がいつからかそこにいた。

身長はそれ程高くは無い。

テルシアとライトフライとさほど変わらないだろう。

引き締まった身体の上に漆黒の軍服を身に纏い、真っ直ぐな姿勢を崩さぬままこちらへと歩を進めてくる。

漆黒のボブカットの前髪の隙間から、何処か儚げな印象を与える真紅の瞳をこちらに向けつつ、好感の持てる笑みを浮かべている。

名前を『テリア・アスティー』と言った。

「まさか…。」

黒の騎士団に所属していなくとも言わずと知れた有名な人物である。

その事に気が付いて、つい声が出てしまう。

「テリア・アスティー騎士団副団長!」

すぐさま、皇王国軍の正式な敬礼をする。

俺の様子を見たのか、横にいたテルシアも同じ様に敬礼をした。

「え?

なんですか?」

と、唯一ライトフライだけが、呆気にとられてぽかんとしている。

「ライトフライ、敬礼しろ。

今すぐに!」

「えー何ですか?

何かの冗談ですか?」

と、今だに状況が呑み込めていない様に間延びした声で言っている。

「冗談な訳無いだろう!

お前は、自分が所属する騎士団の副団長の顔も忘れたのか?」

そこで漸く、合点したのか、はっとなって慌てて敬礼をするライトフライ。

だが、しかし、皇王国軍の正式な敬礼は右手の拳を作り胸の中心に軽く当てるものであるのに、逆の左手の拳を胸の中心に当てている。

「馬鹿!

逆だ、逆!」

「え?

おおっと!?」

あたふたし始めるライトフライ。

「あのー。

別に畏まらなくても良いですよ」

と、にこやかにアスティーが口を開いた。


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