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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶49

「敵機確認!

至近距離、応戦する!」

瞬間、レーダーに表示されていたバルム中隊の12個の表示の内2個が消えた。

ノイズ交じりの通信が混じる。

「畜生!

ノーブル、クライツが墜落!

繰り返す!

ノーブル、クライツが墜落!!」

バルム中隊は一気に混乱の渦中へと飲み込まれて行くようであった。

「全機、周囲を警戒せよ!」

隊長機は、事態を悪化させない様に必要最低限の指示を出す。

「隊長!

雲から出るべきだと思われます!」

「今すぐ、離脱を!」

だが、通信から入ってくる味方機の声は恐慌状態に近い。

「落ち着け。

視界が悪いのは敵も同じだ。

索敵範囲を広めて、敵の居場所を」

と、不意に隊長機からの通信が途切れる。

刹那、バルム中隊の表示が3つ同時に消える。

敵は相当に手馴れているらしい。

視界の悪い状態で同時に3機を撃墜する飛翔技術を持っていると言う事だ。

バルム隊の残り7機に向けて通信を送る。

「こちらヴェルト小隊。

バルム中隊各機へ、針路176へ向けて飛べ。

合流を最優先せよ」

「了解、至急向か」

レーダーの機体表示がまた一つ消失する。

「くそ!

ネイスが堕ちた!」

このままでは全滅してしまう。

急がねば。

「テルシア。

予定を変更して、味方機の救出を優先させる」

「分かりました」

「仮に会敵しても戦おうとするな、追い払う事を優先させろ。

良いな」

「勿論です」

テルシアとの僅かな会話の間に、また1機、そしてまた1機と墜ちて行く。

残り4機。

前方の雲の塊の切れ間から、4機を見出す。

だが、まだ遠い。

と、青白い閃光が雲の切れ間から迸る。

それは漆黒の機体を貫いた。

遠距離仕様か、それともそれを凌駕する程の技量なのか。

残り3機。

「奴ら、しつこい!」

「雲から離脱!

助かった!!」

安堵する味方の声。

と、3機の背後。

雲の切れ間から、ぬらり白銀の機体が姿を現す。

綺麗な2機の編隊飛行。

あれは。

「『白い鳥』」

と、テルシアが囁く様に言う。



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