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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶38

「そう言えば、私の機体の特徴は何ですか?」

と、唐突にテルシアが問いかける。

「簡単にこれに書いてある。

まずはそれを読んでからだな」

レオは仕様書を差し出すと、彼女は受け取り黙々と読んでいく。

「機体は今すぐにでも飛べる。

細かい設定はその後でも良いだろうな。

まぁ、お前さん達の場合は実際に乗った方が早いと思うぞ」

確かにそうだろう。

いくら仕様書を読もうとも、実際飛んでみなければ分からない事の方が多いのだ。

俺はどちらかと言うと仕様書や説明書を読まずに扱うので、正直今すぐにでも飛ばしたかった。

「そうですね。

そうしましょうか」

一方のテルシアはと言えば、仕様書や説明書をしっかりと熟読してから扱う方なので、時間が掛かってしまうのだが、ここ最近になって俺と同じく仕様書や説明書は不明点が出来て初めて見るようになったらしい。

ショートボブを撫でつけると、ヘルメットを被り、取り付けてあるバイザーディスプレイの電源を入れた。

忽ち、バイザーに機体認証コードと、高度、速度等、機体情報の羅列が流れる。

「機体とのリンクは既に登録済だ。

まぁ、楽しんで来い」

レオはそう言って格納庫のコントロール室へと歩き出す。

「あれ?

隊長は行かないんですか?」

既に機体に跨っているテルシアは小首を傾げて問いかける。

「あぁ、そうだな。

勿論行くに決まっているだろう」

そう答えて、俺もヘルメットを取り出し被る。

バイザーディスプレイの電源を入れて、機体に跨る。

以前の煉華に比べて、一回り機体が大きくなっているようだ。

その他のモニター等の装備はほぼ変わらない。

細かい所を言うと、デザインが僅かに変更されている位だ。

機体は既に起動している。

ここでスロットルを捻り、フットバーを蹴り込めば、一気に機体が急上昇するだろう。

ゆっくりとスロットルを捻る。

動力部内の反重力粒子が制御装置によって高速で回転し始め、並行して、その運動によって発電機が高速で回転を始める。

僅かに聞こえる高音は異常なく起動している証拠なのだ。

ふわりと、機体に取り付けてあるタイヤが床を離れる。

「まだ扉は開いてねえぞ。

ったく、黒死蝶は気が早いなぁ、おい」

レオの声が通信機を通じて聞こえて来る。

「今すぐ開ける。

まぁ、待ってろ」

途端に、真上の扉が開かれる。

更にもう一つの扉が開くと蒼い空が見えた。

タイヤ格納ボタンとシールド発生装置を押し込む。

前輪後輪ともに一部を残して機体の内部へと格納された瞬間、機体を透明な膜が包み込む様に現れる。

「よし、グリーンサインだ。

行って来な」

その声と共に、俺はスロットルを捻り込み、フットバーを蹴り込んだ。

機体は見る見るうちに急加速して、扉の外へと向かって行く。

そして、視界が一気に広がった。



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