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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶22

食堂に着くと、早速券売機に個人用IDパスポートキーを差し込んで食券を取り出す。

「また、同じ」

ぼそりとテルシアが言うが気にしない。

すかさず食券をカウンターにいる調理員に差し出し、傍の席に腰を下ろす。

「よく飽きませんよね。

毎食、同じだと栄養が偏って、良い事になりませんよ」

向かいの席に座りながらテルシアが口を開く。

「良いんだ、食べれれば」

「まぁ、別に良いんですけれどね。

そう言えば、ですが」

そう前置きして、テルシアが真正面からこちらを見やる。

「以前、アスティー様から転属の申し出がありましたけれど。

あれは何故、断ったんです?」

「何だ?

お前は、転属でもしたかったのか?」

「いいえ、そう言う訳では無いのですが、単純に、何故なのか気になっていまして」

「そうだな。

理由としては分かりやすいと思うがな」

「何ですか?」

「所でテルシア。

お前はこの小隊の強みは何だと思う?」

この小隊と言うのは今となっては俺とテルシア。

それとバル、ライトフライの事だ、と。

そう付け加えて、問いかけてみる。

「うーん。

質問を質問で返して来るとは、卑怯ですね。

まぁ、今に始まったことではありませんが」

形の良い唇に人差し指を乗せつつ、小首を傾げるテルシア。

そんなに分かりにくい質問でも無いと思ったのだが。

「人数が少ない、と言う事ですか」

「なるほど、確かに良い線はいっている。

が、少し違うな」

そう言うのと同時に、自分のIDが呼ばれた。

「まぁ、答え合わせは後だな」

そう言ってトレイを受け取り一番奥、壁際の座席に座った。

テルシアも少し遅れて向かいの席に座る。

「で、答えは何です?」

パスタ麺をフォークで巻き取った所で声を掛けて来る。

「一言で言うと自由だからさ」

「あぁ、なるほど。

何となく分かります」

そう言って彼女は、サンドイッチを頬張る。

「確かにやりたい放題していますよね。

それに誰にも注意されませんし」

「お前、言い方が悪いな」

「そうですか?」

しれっと言うテルシア。

確かにやりたい放題と言うか、好き勝手にしているのは事実だ。

勿論、与えられた任務は全うしているし、誰かに迷惑を掛けたりなどはしていない…と思いたい。

それは、勿論これまで培ってきた技量もあって、周りから、まぁ、あいつ等だからと寛容に思われている面が大きいだろう。

決して驕っている訳では無いが、飛翔技術と、これまでの撃墜数は騎士団内でも上位に入るのではないかと思えるのだ。

そうした自信もあって、テルシアの言う所のやりたい放題しているのも事実ではある。

転属したとしたら、この自由度が無くなるかも知れない。

唯でさえ、俺を含めた小隊の面々は若干協調性に欠けた所もあって、今のこの環境が一番よいのでは無いかと考えているのだ。

無理に、他の部隊に歩調を合わせようとすると、かえってその実力を発揮できなくなるのではないかとも感じてしまう。

よくよく考えれば、恐らくアスティー様もその事を十分に理解したうえで、前置きにお願いと言う形で提案して来たのかも知れない。


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