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フィフスグラウンド戦記外伝 黒死蝶15

「敵だ!!

来るな!」

「いやだ、死にたくな…っ!」

再び爆発。

先ほどと同じく連続で起こった。

敵は相当に手馴れているらしい。

「全速力で離脱しろ!」

ケインが言う。

と、白銀色の機体が雲の切れ目に入り込むのを見やる。

恐らくは一撃離脱法を使ったのだろう。

相手に対して、高速で接近し、至近距離からレーザーを撃ち込み離脱する。

恐らく一番端にいた味方から撃墜して行ったのだろう。

賢い奴だ。

俺も雲の切れ間に入り込む。

と、左前方に3機の連邦国軍の機体が逆三角形の編隊を組んで飛翔しているのを見やる。

通常3機で編隊を組む際には前方に1機、後方に2機を配置して三角形を象るのだが、珍しい事に前方に2機、後方に1機と言う三角形を象っている。

前方の2機で一気に撃ち込んで背後の1機は撃ち漏らした機体へ狙撃するのだろう。

これは前方の2機の息がぴったり合わなければ出来ない編隊飛行だ。

なるほど、敵機の技量も相当高い事が窺い知れる。

敵機がこちらの動きに気が付いたのだろう。

瞬時に鋭い曲線を描いて、遠距離からのライトフライとバルの放ったレーザーを躱した。

「当たると思ったのに~」

「残念ですな」

途端に、ライトフライとバルの声が聞こえてくる。

俺もレーザーを放とうと掃射ボタンに指を掛ける。

が、その間にも複雑な線を縫う様に、高速で鋭角な曲線を描いて空を掛けていく。

雲が切れる。

と、白銀の機体に描かれたノーズアートが見えた。

白鳥が翼を広げているものだ。

あいつは確か…。

再びライトフライとバルのコンビがレーザーを掃射する。

だがしかし、宙を迸る青白い閃光は虚しく飛んでいくだけであった。

「無駄ですよねー」

「確かに、その様ですな」

恐らく追いかけても無理だろう。

そう判断したのか、ライトフライとバルは旋回して、ケイン隊が向かった空域へと針路をとる。

俺は機体を静止させ、白銀の機体が飛び去った方角へと視線を向けた。

遠くの雲の切れ間が僅かに煌めくのを見やる。

そこが定位置であるかの様にテルシアが俺の右後方から、声を掛けて来た。

「噂に聞いた事があります。

連邦国の機体で、『白い鳥』と呼ばれている3機の編隊。

噂通り、飛翔技術が高かったですね」

俺は黙ったまま、雲の切れ間を睨んだ。


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