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ラーベラムの世界  作者: エディ
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第一章1

前書き



 のんびりのんびり~

 この物語はいったいどこへ行く~


(追伸、プロローグを修正して、クラウの身長を十才児程度に変更しました)

 クラウが目を覚ました時、そこは知らない場所だった。

 軽いデジャビュだが、今度は自然の中でなく木製の天井が見て取れる。暖かなシーツが敷かれたベッドのだ。シーツからは太陽の香りがして、その匂いが心地いい。近くに見える窓からは、太陽の光が穏やかに降り注いでいる様子が見て取れ、心が落ち着くのを感じた。

 室内はそれほど広くないが、それでも木材で作られた建物には落ち着いた様子がある。今部屋の中にクラウ以外の人はいないが、それでもこの部屋の中には人が住んでいる温もりがあった。

「こういう場所はいつ以来かな」

 穏やかさに包まれている場所はいいな。そんなことを思いつつ、ベットの上で上半身を起す。

 と、部屋のドアが開く音がした。

「よかった。気が付いたんだ、クラウさん!」

 ドアの向こうから現れたのはカミュだった。

「よっ」

 クラウは片手を上げて挨拶する。

「びっくりしたんだよ。あの後いきなり熱出して倒れたんだから。ちゃんと覚えてる?」

「倒れた?俺が?」

 そんな馬鹿なと思いつつ、自分の顔を指さすクラウ。

「そうだよ。大丈夫、気分とか悪くない?」

「全然平気」

 クラウはまるで倒れていたことなど感じさせない様子で答えた。

「そうだ、お母さんにも教えないと、お母さーん」

 なんだか慌ただしいが、クラウを無事と見て取ったようで、カミュは急いで部屋を出ていった。

 そんな少年の後を見送り、残されたクラウはとりあえずベットから降りようとした。だが、床に足をつけて立ち上がろうとしたところで、力が入らなかった。前のめりに倒れ、慌てて両手をついて、顔面から床に激突するのを防ぐ。

 おかしい、調子が狂いすぎている。

 予想外の不調を感じ、クラウは顔に冷汗が浮かぶを感じた。

「クラウさん!」と、そこに母親を呼びに行っていたカミュが戻ってきた。床に片手をついて、突っ伏しているクラウの姿に慌てている。

「……は、腹が……」

「お腹が……痛いの?」

 床についていない方の手は、腹の前で止まっている。

「……飯を、くれ」

 床に突っ伏しつつ、顔に冷汗まで浮かべ、クラウは必死にカミュに訴えた。


 机の上には丸い黒パンに、湯気が立ち上るコーンのスープ、それに色とりどりの野菜が盛られたサラダが並べられていた。

「誰も取ったりしないから、慌てなくても大丈夫だよ」

 そう語り掛けたのはカミュの母親で、息子と同じく青い髪と瞳をしている。カミュの年齢から考えれば、若くても三〇才前後といったところだろう。

 しかし、そんなカミュの母の忠告など、クラウにはまるで聞こえていない。彼は黒パンにかぶりつき、そのまま丸呑みにしてしまうのではないかという勢いでパンをむさぼり、スープでパンを流し込んで、さらに野菜をかじりついていく。

「まったく、どうすればここまで食べられるのかしら」

 クラウの豪快すぎる食べっぷりを見せつけられ、心配を通り越してもはや呆れてしまっている顔の母。

「おかわり!」

「はいはい、すぐについであげますよ」

 苦笑を浮かべながら、クラウが差し出したスープ皿を受け取り、すぐにコーンのスープを注ぐ。スープ皿を受け取る間にも、クラウの口には黒パンが一つ放り込まれ、モグモグと動いている。

 ここまで食べっぷりがいいと、料理の作りがいがあると思う母。

 とはいえ、

「眠っているときはお人形さんみたいに綺麗な子だったのに、やっぱり子供なのね」

 とつい口に出してしまう。

「モグモグ」と、クラウは何か言うが、食べ物で口の中が占拠されていて、何を言っているのか全く分からない。

「しゃべるのか、食べるのかどっちらかひとつにするといいわ」

「モグモグ」

 母の忠告に、クラウはそのまま食べ続ける方を選んだ。

 そんなクラウの食いっぷりに、傍にいるカミュも驚いたような、感心しているような、呆れたような顔になる。それぐらい、すごい食べ方だ。

 ただ、それにもだいぶ慣れたところで、カミュは母に語った。

「でもね、母さんすごかったんだよ。クラウさんってば、僕たちが襲われた狼たちを次々に倒してくれて……」

 自分のことではないが、目の前にいるクラウのことを誇るように語る。

「はいはい、でもあなたたちを助けてくれたのは、この子じゃなくてもう一人の旅人さんでしょう」

「だから、何度も言ってるのに。僕たちを助けてくれたのはあの人じゃなくて、クラウさんだって!」

「はいはい、そうですね」

 そう言い微笑む母。

 しかし、その言葉は物わかりが悪い子供を諭すような笑顔だ。

「もう、どうして信じてくれないんだよー」

 カミュは口を尖らせて、不服そうにした。

 ただ、この話は食べることにいそしんでいるクラウにもちゃんと聞こえている。

 カミュの母が言うもう一人の旅人さんということは、あの軽薄男ということだろう。

 もっとも、今のクラウはどこからどう見てもただのお子様で、軽薄男の方はちゃんとした大人なのだ。あの現場にいない限り、クラウに狼の群れを追い払えるなんて考える大人など誰もいないだろう。

「モグモグ……そういえば、あいつはどこに行った?」

「あいつって、君を連れてきてくれた旅人さんのことかい?」と、母。

「そうそう」

「あの人なら今外にいるけど。そうだクラウ君、君が意識を取り戻したことを教えてあげないとね。君、一日も意識がなかったんだから、きっと心配しているよ」

 そう言って、カミュの母は席を立ちあがって家から出ていった。

「あいつが心配ねー」と、クラウは母が立ち去った後で胡乱に口にする。

 絶対にありえないことだと、軽薄男のことをよく知っているので心の中では断言できる。

 ただ、気になることがある。

「一日って、俺そんなに寝てたのか?」

 傍にいるカミュに尋ねるクラウ。

「そうだよ。このまま目を覚まさないんじゃないかって、僕、すごく心配したよ」

 やたらと目を輝かせて、クラウの顔をまじまじと見ながら答えるカミュ。

 一日とは、それはまた普通じゃないなと思うクラウ。ただ、だからと言って深刻に考えることでもないな、とすぐに思い直した。

 ところで、クラウの方をさっきからカミュにやたらとみているのだが、「もしかして、懐かれてるのか?まぶしい笑顔だなー」などと、カミュの顔を見ながら思うクラウだった。


 その後、カミュの母が軽薄男を引き連れて家へと戻ってきた。

「やっ」

「……」

 軽薄な顔に軽薄な笑顔を張り付けている軽薄男。それに対してクラウは白い目で男を見る。

 だがクラウのそんな視線など微塵も気にしない軽薄男は、すぐにカミュの母へと向き直った。

「それにしてもありがとうございます、奥さん。倒れた子供を一日も介抱してくれたご親切、決して忘れませんよ」

 などと言い、ちゃっかり母の手を握っている。

「いえっ、私の息子が狼に襲われていたところを助けていただいたそうで、これくらい当然のことですよ」

 そう言いながら、母の顔がかすかに赤らんでいた。

 軽薄男は一応見栄えがいいから、女であればこの男の外見にコロリと騙されてしまうということか……。

「母さん、父さんがいたら怒るよ!」

「あ、あららっ」

 息子に注意されて母が慌てて軽薄男から手を離した。

 何をやってるんだ、こいつは。とクラウは軽薄男を白い目でさらに見続ける。

「ところでクラウ、君はどれだけ食べ散らかしたんだい?」

 話題が変わって、軽薄男はクラウがさんざんに食べまくった机の上を見まわした。おかわりしまくって空になった皿や、鍋などが所狭しと机の上に置かれまくっている。

「腹が減っていたから、食べた。それだけだ」

「へー、そうかい」

 毅然と答えるクラウに、軽薄男は目を細めながら口にする。二人の様子を見ているカミュは、二人の間に見えない火花が散っている光景がなぜか見えた、でも、口には何も言わないようにする。

 そんなやり取りがある中、大人たちは大人たち同士で話をつづけた。

「すみませんね、私の息子が際限なく食べまくったみたいで」と、軽薄男。

「いいんですよ」と、気にした風でもなく答えるカミュの母。

 だが待て、軽薄男は今何と言った!

「なあ、息子って誰のことだ?」

「決まっているじゃないか、僕の息子のクラウ君」

 軽薄男はニタリと口を曲げて、悪魔めいた笑いを浮かべていた。


たまにはまともな、あとがきダイ~



 本編がクソ真面目なせいで、それ以外で羽目を外しっぱなしの作者です。

 一章に入ったので今回ぐらいはまともなことを書いておこうかと。

(あああ、あとがき書いていると、だんだん生真面目の仮面にひびが入りそう~~~)



 とりあえず一年前に書いていた『それはありふれた物語、ただ少し結末が違うだけ』の後、かなり迷走しまくって、いつものごとく執筆界隈から姿をくらまして適当にしていました。

 で、今年の四月ぐらいまたゲーム作りに戻るか~と、執筆ではなくゲーム作りの人として復活しかけました。

 ただ、ゲーム制作しているのと同じくらい、心の中で執筆意欲が抑えきれなくなっていました。で、一カ月ぐらいして耐えられなくなった結果、ゲーム制作をまたしても未完にして、執筆を再開してしまいました。



「だって、だっていけないんだもの!

 スターオーシャン5の情報が出てきたんだよ!

 シリーズのファンとしては気になって仕方がないじゃない!

 あっちはゲームだけど、なんかものすごい執筆頭脳に雷が直撃して、感電して……その後ついでに火災まで発生して燃え上がったんだよ!」

(ああっ、真面目の仮面が砕け散っちまったw)



 とまあ、小説とは直に関係ないところですが、ものすごく刺激を受けてしまいました。

「スターオーシャン5いいな~」

 とりあえず主役のフィデルと幼馴染ミキの情報が出てきたばかりなので、この二人をモチーフにしてみて話でも作るかと企みました。

(基本的に私は外見上のキャライメージをいろんな場所からとってくる人間なので、今までに書いた話には外見的に元になったグラがいくつもあります。もっとも性格やストーリー・世界観は、大本とは関係なく自分で勝手に妄想したうえで組み立てていますが)



 ただ、浅はかな目論見なんてうまくいかないものです。



 いろいろと話や世界観を考えてこねくり回した結果、この二人を元にしたキャラは全く私の中で動いてくれません。

 妄想の世界では、主役にしたいと思うキャラのことなど全く完全無視の空気扱い。

 別のキャラが生き生きと動き回る……を通り越して、暴れまわってくれます。


 ……で、当初の主役設定などは全て没。

 かわりに、『魔性の勇者』を書いていた時に主役を張ってくれたクラウくんが再登場となりました。



(ああ、『魔性の勇者2』も書き書けで結局放置になってる……。ついでに別案ではクラウでなく、『それはありふれた物語、ただ少し結末が違うだけ』を書こうとしていた前に考えていた、別の人物を主役にしようともしていましたが……)



 とりあえずクラウ主役にして物語作っていくか~。

 よーし、スターオーシャン教団(何それ意味不明?)を勝手に脳内で妄想している私なので、今回はSF系の世界観を前面に出すぞ~




 そうしていざ物語を書きました。


 ……ものすごく執筆の腕が鈍りまくってました。

 自分でも思っていないほど、ひどかったです。

 3話分ほど書いたものの、技術上の説明が話の半分以上を常に占めている有様で、面白みもへったくれもないゴミが出来上がってしまいました。



「当然没!却下!こんなもの書いてられるか!」




 で、SFを前面に出すとどうしても説明ばかりになって書きづらいため、しかたなく最近はもうこれしか書いてないジャンルのファンタジーを前面に出して、今の形での執筆が開始されました。


「やっぱ、ファンタジーって楽ね~

 説明抜いてバリバリ書いてけるんだから、超簡単~」

(書くのが簡単なのと、他人が面白いと感じるかは完全に別の話だけど)



 てなわけで、この物語がようやく日の目を見る形で執筆されていくことになりました。

 物語はクラウを中心にして展開されて行きます。

 ついでに既に登場しているカミュとアイリスの二人も活躍してくれるかな~?活躍してくれないかもしれないけど~?

(そうです、この二人は主役にし損ねた子たちです。いまだに活躍してくれるかどうかも激しく不明な状態です)




 とりあえず、今回は物語の裏事情を適当に語ってみました~

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