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追憶のノスタルジア  作者: 壮佳
第二晶
8/18

幼き頃の

◆ ◆ ◆



カンバスに絵の具を垂らしたような、晴れ晴れとした真っ青な空の下。


地平線の彼方まで広がる草原が、時折吹く風でそよそよと揺れる。



少年が天を仰ぐ隣で、瑠璃色の髪の少女は、腰を下ろしてまっすぐ前を見つめている。



「ねぇ、リンドウ。あたしのこと好き?」


「……………」


「リンドウ、聞いてる?」


「ん?」


「もうっ。ちゃんと聞いてよね!」


聞こえているさ、と燐慟は内心ほくそ笑む。



困ったときに時雨が浮かべる、その表情が燐慟は好きだった。


頬を膨らませ、眉間にシワを寄せてそっぽを向く時雨。


それでも彼女の名前を呼べば、ヒマワリのような笑顔で抱きついてきた。



「あたしたち、大人になったら結婚しようね」


これは、時雨の口癖で、俺たち二人の誓いのようなものだった。


当時六歳だった俺は、家柄のことはあまり判らなかったが、神咲家と榊家は五指に入る名家で、俺たちが結婚すれば互いの家の繁栄にも繋がることは、父から何度も聞かされていた。


だがそれ以上に、俺は時雨のことが好きだった。

何の困難もなく、その夢はすぐに叶うと思っていた。


ただ、本当に時雨が好きだった。



それなのに、大好きでたまらなかったのに、時雨は死んだ。


いや、正確には──俺が殺したんだ


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