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追憶のノスタルジア  作者: 壮佳
第三晶
18/18

──────


そちらに視線を向ければ、悪戯を思い付いた子どものように、にやりと蓮が笑い、



「あぁ! もしかして彼女?」



馴れ馴れしく肩に手を回してくる。



「かっ、彼女だなんて、そんな……!!」



ユリが、ひきちぎれんばかりに両手をブンブンと振って否定するが、その顔は熟れたトマトのように赤い。


ちらちらとこちらを見てくるが、無視

浮かれるな、と言ったばかりであることもあり、殴りたい衝動に駆られるが何とか抑え、心のなかで、平和バカめと罵っておく。



「俺に話しかけるなと言ったはずだ」


「つれないなぁ、リンドウは」


「あの、燐慟様……こちらは……?」


「知らねェ。警察にでも通報しとけ」



まとわりつく腕を振りほどき、歩を早める。



「んだよー。お前、昨日僕が言ったこと忘れちゃったの?」



思わず、足が止まる。

根が生えたように動けなくなっていた。


振り向けないまま、近づいてくる足音をただ聞いているしかない。

また肩に手を回すと、耳元で蓮が囁くように言った。




「お前がノアの操者だってコト、父上に言ってもいいんだぜ?」




状況を理解できていないユリが、そんな2人を見て慌てふためいている姿が、頭をよぎる。


いや、実際そうなのだが。




「ノ、アの操者? 一体何の………」



胸が(あぶ)られるような焦燥感にかられる。



心臓は口から飛び出してしまうのではないかというほど脈打っており、その鼓動はひどく緩慢に感じられる。


喉がカラカラに渇いて、舌が上顎に張り付いているため、うまく言葉を紡げない。




「うーん、まだしらを切るつもり? そろそろウザいんだけど」




かすかに怒気を含んだ言葉が、燐慟の鼓膜をたたく。




コイツは──神咲 蓮は確信を持って言っている。




ハッタリであると思いたいが、その可能性は低いだろう。


いや、皆無かもしれな──




「知らなかったみたいだから教えてやるよ。操者は、ノスタルジアを感じ取ることができるんだ。つまり──僕もノアの操者だ」


「───なッ!!?」



驚きで足元がぐらつくのを感じる。

状況の整理が追いつかず、喘ぐような呼吸になる。

そこでまだ隣に蓮がいることを思い出し、努めて平静を装う。

が、やはりどうにもならない。


ノアを封印するために3日3晩あの激痛と闘い、ようやくここまで来たのだ。


入学2日目でこのような状況になると、誰が想像できただろうか。

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