しょーとすとーりーず⑨
α地点
クロスグリが群れている、ギラギラウネる黒いオイルの波をつくって、ウゴメイテいる。
クロスグリは、頭部、胸部、腹部の3つの房を、しなやかで強度のある枝がつなぎ、房からは3対の根がしっかりはえて、手足となして動かしている。
黒い波のイチバンセワシイ中央あたりを注意ぶかくながめれば、すこしアカムラサキがかった黒薔薇の、つらなったおおきい花弁が2まい、揺れている。
波のうごきと逆のほうへ、おしべがよわよわしく動いている、ドウモウなクロスグリのショクリョウとなった黒薔薇が、巣となしている地中へとハコバレテいくのだ・・・
β地点
チョクリツしたカマキリがカマをひろげてはえている、クビよりうえがないかわりにアオいルリのコウタクとアカクロの斑点をチラシた黒いカラスアゲハがアタマに咲いている。
カラスアゲハの内側にたっぷり湛えられたあまいみつをメガケ、黒薔薇がひらひら舞いこんで、トゲをフカク垂らしてすいあげていく。
黒薔薇のトゲにはカラスアゲハの生殖器からつぎなるイノチのたねをたっぷり塗りこまれ、黒薔薇はつぎなるあまいみつへとトビタッタ。
γ地点
おなじスグリ同士であっても、道中スレチガッテしまったら敵、味方にチガイナイ。ただ生キノビルための掟はひとつ、コロシ、食イ、ツナイデいくだけなのである。
アカスグリはドウモウさにかけてはクロスグリの比にならない。
しかし、たんたいが軍隊にカテるはずはなく、取リカコマレテハナタレた毒エキにぜんしんを濡らして、アカスグリはシビれ、死んでしまった。
アカスグリを取リカコンダじょうたいのまま、クロスグリの群れが死んでいる、チカチカタイヨウを反射させ黒く固マッテあちこち転ガッテイル。
クロスグリの群れは、これまでの自然にはなかったおそろしくおおきななにかをウケテ死んでいた。
クロスグリの死骸のむれは時間をカケテつぎなるイノチへじわじわ食イ荒ラサレ、土のなかへとカエッていく・・・
チョクリツしたカマキリがしっかりと地中へ伸バシ張ラレタあし足から、ヨウブンやスイブンが吸いアゲられて、維菅束は満ち、やがてカラスアゲハの内側にはあまい甘いみつが蓄エラレテイク事だろう。