第四章 やっと会えた…
それからというもの、何をしていても美玲ちゃんしか出てこなくて…
何で会えないのかって、そのせいでまた眠れなかった。
むしゃくしゃして、いつもより早くランニングを始めた。
風になった様な感覚が心地よい。
あの公園の前で自然と足が止まった。
…輝いている。
心臓が高鳴る。
もしかして、と希望を抱く僕と、そんな漫画みたいな事あるわけない、と考える僕とが居て気持ち悪い。
会いたい気持ちが強くて、足早に向かった。
近づくと、すぐにわかった。
…美玲ちゃんだ。
胸が締め付けられる。
何でこんなに苦しいんだ?
わからなかった…
美玲ちゃんは、何故だか憂いている様に見えた。
僕に気づくと、すぐにあの笑顔になった。
「おはようございます。」
「ずっと会いたかった…」
何だか泣きそうになり、我に帰った。
「あ、いや‼連絡先とか知らなかったし…もう会えないかなって…」
美玲ちゃんは驚いた様な顔をしてから、少し頬を紅潮させた。
ほんのりピンクに染まった頬は、果実の様に美しかった。
「実は私も…」
そう言いかけて口を噤んだ。
「ごめんなさい、ただの戯言です。」
そういうと、小梅ちゃんを抱き上げお辞儀をして帰って行こうとした。
その手を必死の思いで掴んだ。
キョトンとする美玲ちゃんに、手を差し出して暫し待つように促した。
すると、美玲ちゃんは苦笑して、わかりましたとでも言う様に、コクリと小さく頷いた。
「今、ケータイ持ってる?」
僕はポケットから急いでケータイを取り出し美玲ちゃんに、問うた。
「持ってますよ。」
と、ニコニコしながら答えてくれる。
美玲ちゃんも、ポケットからケータイを取り出して、僕の目の前に差し出した。
「番号、登録しておいてください。あとで、メールしますから。」
僕の気持ちを察したのか、僕が言いたかった事をさらりと言ってくれた。
美玲ちゃんを待たせない様に、速く打とうとすると、手が震えて上手く打てなかった。
…凄く、嬉しかった。
また会えただけでも、天に昇るかのように気分が高揚したのに、メールが送られてくるなんて…
夢でも見ているかのようだった…