第三章 恋…?
その日の夜は、何だかそわそわして眠れなかった。
いつもは眠れなくて苛々が残るが、今日に限っては、何故か晴れやかな気持ちだった。
朝、また美玲ちゃんに会えるかななんて淡い期待を胸にランニングへ出掛けた。
昨日と同じ時間に公園に着いた。
けど、美玲ちゃんの姿はなかった。
その途端に、胸の高鳴りが収まった。
学校へ行っても美玲ちゃんの事ばかり考えてしまい、授業が手につかなかった。
ぼーっとしていると、風紀委員の村木さんがやって来た。
彼女はやたらと僕に突っかかってくるのだ。
「何してるの?貴方、いつも独りよね。誰かと話したり、お昼食べたりしなさいよ。」
いつもこんな事ばっかり言ってくる。
軽く流すと怒るし、結構面倒臭い。
「…じゃあ、一緒に話す?」
「は?」
そう言って、彼女は真っ赤になった。
熟れたトマトみたいだな~なんてぼーっと考えていたら、すかさず男子達がからかいに来た。
「峰岸が村木をナンパしてる~!」
「やるね~。」
「峰岸ってそーいう事すんの?」
だのなんだの。馬鹿みたいだ。
それに腹を立てたのか何なのか…
彼女は突然泣き出して何処かへ行ってしまった。
「あーあ。泣かせちゃったー。」
「どーすんの?峰岸~」
「え、あれ僕のせい⁇」
殆ど話を聞いていなかったから、何で泣いてたのかもわからないし、何故僕のせいになっているのかも正直わからなかった。
そのせいで倍いじられるのだが…この日は美玲ちゃんで頭がいっぱいだったから、全然気にならなかった。
この日に限らず、何時でも何処でも…美玲ちゃんの事で頭がいっぱいだった。
何で会えないのかとか、連絡先聞いておけば良かったとか…後悔とかそんな事ばかり考えていた。
美玲ちゃんの事を考えると、心臓がトクンっと跳ねる。
何でこんなにドキドキするのか、わからなかった。