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Rain  作者: なるみ。
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第一章 出会い

ただ閉じていただけの目に、朝の眩しい光が差し込む。

…今日もまた、眠れなかった。


パジャマからジャージに着替え、外へ出る。

時間を持て余すので、最近ではランニングが日課となった。

朝の冷たい空気は心地よく、昨日あった嫌な事なんて何処かへ飛んで行ってしまうのだ。


いつものコースをいつも通り走っていると、途中で寄る公園の中央が、光って見えた。

幻覚かと思い近づくと、そこには綺麗な女の子が立っていた。

向日葵の様に優しい微笑みを浮かべ、朝の光に照らされて、まるで天使の様だった。

その子に引きつけられるように歩いて行くと何かが僕に突っ込んで来た。

思い切り衝突し、よろけてしまった。

すると、それに気付いたその子が此方に駆け寄る。


「大丈夫ですか⁉」

心配した顔も可愛い…

そんな事考えてしまった。

「あの…何処か怪我とか…」

ようやく、我に帰る。

「あ、いや、全然‼」

くるくる回ったり、跳ねたりして無事である事を見せた。

「ね⁇」

彼女はまた、向日葵の様な笑みを浮かべた。

「ふふ、お怪我が無くて本当に良かった。すいません、この子が…」

そう言って、僕に衝突したそれを抱きかかえた。

彼女の腕の中には、ポメラニアンが此方を見据えて居た。

「ああ、この子が…」

「はい…少し目を離した隙に…」

彼女は苦笑した。

「名前、何て言うの?」

「小梅です。」

小梅ちゃんは名前を呼ばれたとわかったのか吠えて返事をした。

僕らは、それに顔を見合わせて笑った。


何気なしに時計に目をやると、時計は7時50分を指していた。

「あ、やべっ‼学校‼」

気付いた時には既に遅かった…

此処から家まで10分。

家から学校まで1時間。

完全に遅刻だ…

「あ、君…学校は?」

「ああ…学校、行ってないので…」

「…ごめん。」

彼女に何て声をかけて良いかわからず、謝る事しか出来なかった。

「いえ、謝らないでください。」

何を言って良いのかわからず、少し沈黙が生まれてしまった。

どうにかこの沈黙を破ろうと

「あ、あのさ…僕と少し話さない?あ、時間があれば…なんだけど。」

と話かけた。

我ながら阿保っぽいと思ったが、彼女は優しく微笑んで快諾してくれた。

「あ、君…名前何て言うの?僕は峰岸涼。」

「私は、園田美玲です。」

美玲…名前まで美しい。


僕はこの時から運命の歯車が狂い出すなんて夢にも思わなかった…

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