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肝試し 〜最後にゾッとする怖い話〜

作者: おりみみ
掲載日:2026/05/12

「はあ……ようやく着いたぜ、まさかほんとに圏外って場所があるなんてな。すげえよなあここ」


 僕に語りかけてくるこいつは友人エイジだ。


 深夜2時半。

 圏外。

 そして光の届かない闇に満ちた竹やぶ。


 僕たちは肝試しをしようと前々から約束し、誰も近づくことの無いこの竹やぶに訪れていた。


 エイジはため息混じりに言葉をこぼす。


「エミも一緒に肝試ししようと思ってたんだけどな……残念だよ、本当に」


 エミ、僕が密かに恋心を抱いていた高校のクラスメイトだ。

 先週、地元のラーメン屋で偶然立ち会い、一緒に飯を食ったりなんだりしている中、勇気を振り絞り振られる覚悟で告白した。


 驚く彼女から、恥じらいながらも「とりあえず友達からで」と言葉を貰い、連絡先を交換するところまで進み。


 そして今日、エミと映画館でデートをする予定……そのはずだったんだ。


 約束してたとはいえ、こんな形で今日肝試し場所に来ることになるなんて、思ってもいなかった。


 ま、エイジにとっては肝試しもいいところか。はは……こんな時に何考えてるんだか。


「竹やぶ、雰囲気がマジモンで怖え~……ライト付きのヘルメット被ってなかったら迷っちまうぜ」


 エイジは竹やぶの中をずんずんと進んで行き、周りを見渡してから大きな荷物を下ろす。


「ははっ、ここら辺にしとくか……もう少しだからな、待ってろよ?」


 エイジは、シャベルを手に持ち、地面を掘り進めていく。


 タケノコ出てくるかな~とか言っちゃってさ、おまえ、ほんとにやる気なのか?


 ふうと息を吐き、土を掘りに掘り起こしたエイジ。その手は震えることなく、ただただ作業をするように行っていた。


「でもさ……これは仕方ないんだ。まさか、エミがおまえとデートするなんてさあ、思いもしなかったんだよ」


 だからって、エイジ……よしてくれよ。

 考え直してくれよ。


「エミは俺のことが好きだったはずなのに……どうしておまえを選ぶかなあ……おかしいよなあ? ……ういっしょ、ったく重いんだよ」


 大きな荷物を、掘った穴に放り込むエイジ。


 そこに掘り返した土を上から被せていく程、僕の視界が狭くなってゆく。


 ほんとにするんだね、エイジ。


 友人だと思っていたのに、

 まだエミと付き合っている訳じゃないのに、

 もっとさ、ちゃんと話し合おうよ。


 エミを好きに……エミに告った僕が悪いの?

 だからせめて、口に巻かれたこのガムテープを剥がしてくれよ。何か言わせてくれよ。


「じゃあな。代わりに俺がエミと映画館行ってやるから、おまえはここで大人しく死んでおけ」


 そう言い残したエイジは、僕を生き埋めにして竹やぶを後にした。

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