肝試し 〜最後にゾッとする怖い話〜
「はあ……ようやく着いたぜ、まさかほんとに圏外って場所があるなんてな。すげえよなあここ」
僕に語りかけてくるこいつは友人エイジだ。
深夜2時半。
圏外。
そして光の届かない闇に満ちた竹やぶ。
僕たちは肝試しをしようと前々から約束し、誰も近づくことの無いこの竹やぶに訪れていた。
エイジはため息混じりに言葉をこぼす。
「エミも一緒に肝試ししようと思ってたんだけどな……残念だよ、本当に」
エミ、僕が密かに恋心を抱いていた高校のクラスメイトだ。
先週、地元のラーメン屋で偶然立ち会い、一緒に飯を食ったりなんだりしている中、勇気を振り絞り振られる覚悟で告白した。
驚く彼女から、恥じらいながらも「とりあえず友達からで」と言葉を貰い、連絡先を交換するところまで進み。
そして今日、エミと映画館でデートをする予定……そのはずだったんだ。
約束してたとはいえ、こんな形で今日肝試し場所に来ることになるなんて、思ってもいなかった。
ま、エイジにとっては肝試しもいいところか。はは……こんな時に何考えてるんだか。
「竹やぶ、雰囲気がマジモンで怖え~……ライト付きのヘルメット被ってなかったら迷っちまうぜ」
エイジは竹やぶの中をずんずんと進んで行き、周りを見渡してから大きな荷物を下ろす。
「ははっ、ここら辺にしとくか……もう少しだからな、待ってろよ?」
エイジは、シャベルを手に持ち、地面を掘り進めていく。
タケノコ出てくるかな~とか言っちゃってさ、おまえ、ほんとにやる気なのか?
ふうと息を吐き、土を掘りに掘り起こしたエイジ。その手は震えることなく、ただただ作業をするように行っていた。
「でもさ……これは仕方ないんだ。まさか、エミがおまえとデートするなんてさあ、思いもしなかったんだよ」
だからって、エイジ……よしてくれよ。
考え直してくれよ。
「エミは俺のことが好きだったはずなのに……どうしておまえを選ぶかなあ……おかしいよなあ? ……ういっしょ、ったく重いんだよ」
大きな荷物を、掘った穴に放り込むエイジ。
そこに掘り返した土を上から被せていく程、僕の視界が狭くなってゆく。
ほんとにするんだね、エイジ。
友人だと思っていたのに、
まだエミと付き合っている訳じゃないのに、
もっとさ、ちゃんと話し合おうよ。
エミを好きに……エミに告った僕が悪いの?
だからせめて、口に巻かれたこのガムテープを剥がしてくれよ。何か言わせてくれよ。
「じゃあな。代わりに俺がエミと映画館行ってやるから、おまえはここで大人しく死んでおけ」
そう言い残したエイジは、僕を生き埋めにして竹やぶを後にした。




