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『渇望マネタイズ』

作者:此花 陽
 この世で最も「価値」があるのは、金でも、愛でも、
 ましてや命でもない。  
 それは、人が喉を焼かれながら、それでもなお欲してやまない
 **「渇望」**という名の猛毒だ。

 想像してみてほしい。
 指先一つで、見ず知らずの他人の生活を覗き見ることが
 できるこの時代。  
 
 煌びやかな食事、愛を誓い合う恋人たち、
 何一つ不自由のない成功者の横顔。それらをスクロールするたび、
 心の中に一滴ずつ滴り落ちる黒い液体がある。

「羨ましい」 「妬ましい」 「あいつさえ、あんなものさえ無ければ」

 その液体が胃の底に溜まり、発酵し、鼻を突く悪臭を放ち始めたとき、
 それは最高の「資源」に変わる。

 誰もが、誰かの欠落を願っている。  誰もが、自分の空虚を、
 他人の不幸という肉で埋めたがっている。

 方法は、至極簡単だ。  
 ただ、鏡を覗き込み、そこに映る「本当の自分」と
 契約を交わすだけ——。

 さあ、取引を始めようあなたの魂が、
 求める承認欲求が満たされるその日まで。

 ——あなたは今日、何をみる?
第一章:泥濘(でいねい)の視線
泥濘の視線 .ー 前
2025/12/22 14:51
第二章:偽りの黄金、侵食の朝
第三章:渇望の帝国
第四章:零(ゼロ)の聖域
零の聖域 .ー前
2026/01/12 05:30
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