第80話 足立先輩からのお願い?
コラボ配信の終了後、俺が喫茶店で会ったのは高校時代の先輩である
足立唯華さんだった。
「本当に久しぶりね」
「卒業式以来ですよね・・・ってか俺のこと覚えていたんですか?」
「それはあの事件のこともあったからね」
「あの時はお世話になりました」
高校時代にあった冤罪事件で、俺を犯人扱いしなかった数少ない人でもあるからな。何なら、いろいろ手助けしてくれたんだよね。
「あれは・・・本当に嫌な事件だったわよね」
「自分の人生を一度壊されましたから・・・それに先輩の方も文化祭の公開告白はお疲れでしたよね」
「あれは本当に最悪だったわよ」
あれも高校では語り継がれる伝説になっているからな。
「まさか、東城さんの知り合いだったとは」
「私と唯華は大学時代の友達なのよ」
「そうなんですか・・・って東城さんって芸名じゃなく本名で活動していましたか?」
「私の苗字はそのままで名前が「汐里」よ」
東城汐里ってことね。しかし・・・
「お2人が同じ大学は、ナンパとか大変だったのでは?」
「「それはそう」」
「やっぱり」
足立先輩は美人で東城さんは明るく愛嬌がいい。こんな2人が並んでいたら男どもは黙っていないだろうな。
従魔たちは車で待機中だ。喫茶店に連れて行ったら、めんどくさいことになる可能性があるからな。営業妨害とかは嫌だぞ。
「仲良くなった経緯ってのは?」
「私も汐里もナンパが多くてお互い辟易していたの」
「それで大学にあるカフェで愚痴を言い合うようになってね」
・・・同じ境遇だったから仲間意識が芽生えたのか。
「ところで、翠から聞いたんですけど、仕事を辞めたって」
「そうなの」
聞けば俺よりも酷い話だった。
彼女は大手企業に勤めることができたが、そこで仕事を教える先輩からのセクハラが酷かったそうだ。しかもその先輩が、会社の社長の親戚であり、やりたい放題していたんだと。どんなに話しても助けてくれる人がいなく、デートとかを誘われて断ったら、多くの仕事を押し付けられていたらしい。
それでも、自分の好きな仕事だったから続けていたんだが、ドンドン精神的にも参ってきて、終いには自分が住んでいたマンションにまで出没。
心も体も限界がきた足立先輩は会社を退職したのが今年の4月だったと。
「前の協会と同じですね。権力使って脅しをかけられたってことですもんね」
「そうなのよね」
「私は何度か遊びに会いに行っていたけど、やつれていたからびっくりしたよ」
「こんな男に負けるものかっと躍起になっていたからね」
「けど・・・限界が来たっと」
「えぇ。この男がいる会社にこのままずっといるのは無理だってあるとき思っちゃったんだよね」
「だいぶ、止められたみたいじゃない?」
「・・・だったらあの男を辞めさせてほしかったわ」
・・・めっちゃ負のオーラが出ているんだけど怖いな。
相当恨んでいる様子。
「それで、俺に相談って?」
「・・・唯華を波多野君の家に一時的に避難させてほしいの」
「へぇ~~~・・・・・はい?」
この人は一体何を言っているんだ!?
「またどうしてそんな」
「その、唯華が会社を辞める原因の男が唯華の周りに現れたのよ」
「そういえば・・・マンションに出没していたって」
「私の当時の個人情報を勝手に見たのよあの人は」
「社長の親戚だからって許されない行動しているな」
「唯華は山梨の実家に戻ったんだけど、そこに奴が現れたんだって」
「・・・実家に現れたんですか?」
「『私は足立唯華さんの婚約者です』ってね」
「・・・ヤバい奴じゃないですか」
やっていることがサイコパス過ぎじゃないかな!?
ってかこれって、
「ストーカーじゃないですか?警察は・・・もしかして」
「軽い注意だけよ。後お金でね」
「終わってる。マジで終わってる」
「両親には私が仕事を辞めた経緯は話しているから問題ないけど、いつ強硬手段に出てくるか分からないってことで」
「住所が余り知られていない俺の家が安全ってことですか?」
「お願いしていいかな?」
「東城さんのところは?」
「私は実家暮らしだからね」
「汐里の家族に迷惑はかけられないのよ」
「俺は1人と4匹ですからね。家の警備は問題ないですからね」
う~~~ん。足立先輩には高校時代、色々助けてもらったからな。
恩を返すのはここなのかもな。
「分かりました。問題ないですよ」
「本当に!!ありがとう波多野君」
「私からも本当にありがとうね。いい後輩を持って私は嬉しいよ」
「足立先輩も東城さんも俺にとっては先輩ですからね」
「なのに私はさん付けなんだ」
「・・・これからもよろしくお願いします。東城先輩」
「よろしい」
「フフッ」
ということで、明日から足立先輩が俺の家に居候という形で住むことが決まるのだった。
「・・・・翠ちゃんごめんなさいね」
「何か言いましたか?」
「ううん、何でもないよ」




