第65話 久しぶりののんびり配信
「皆さん。おはこんにちばんは!!」
『おっ!!キタキタ』
『配信者で一番話題性しかない男』
『卵はどうなったんですか!!』
さいたまダンジョンに潜って3日後に俺は配信をしている。
俺が卵を持ち帰ったことがニュースや配信の動画で噂になっているんだよな。
中には、俺が見つけた卵を「CGかなにかだろ」「本当の宝が別にあって、それが高額だから見せないための偽物だ」とか一部から言われたが、同業者で俺をギルドで見かけた人達が否定してくれたおかげで炎上にはならなかった。
ただ、さいたまの探索者ギルドがネットで「この度、このさいたまダンジョンにユニモンチャンネルのユウさんと従魔一行が来てくれました!!」とサインの色紙をアップしたみたいで、今さいたまギルドには人がめっちゃ来ているらしい。
俺とシエルのサインだけでそんなに人がくるんかな?
一番はシエルの可愛さだろうけどね。
「卵はこっちですね」
と俺は家の元じいちゃんの部屋のところに向かった。
そこには
ぽよん
「今はこんな感じでオニキスが卵を温めています」
『オニキス君かっこいいぞ!!』
『スライムって逆に冷やすんじゃ?』
『オニキス君は特殊なモンスターだからな。常識で測っては行けないぞ』
「・・・いや、オニキスは触ると冷たいですよ」
『じゃあどうして?』
「オニキスは卵に魔力を分け与えているんです。だよね?」
ぽよん!!
この卵は魔力が小さくて弱っている。そのため、シエル・オニキス・シラユキが順番で魔力を与えているのだ。
この卵が無事に生まれるために。
『健気だわ~~~』
『ヤバい。家族って感じがするよ』
『ところで・・・シエルちゃんとシラユキちゃんはどこに?』
「シエルとシラユキはですね」
とオニキスにいったん離れることを伝え、配信用ドローンと一緒に2体がいる場所に向かった。
「しかし・・・もう梅雨ですね」
『雨ばかりで鬱になるよ』
『洗濯物ガガガ』
「そうですよね、梅雨の時期になると思い出すんですよね」
『何が?』
「会社で上司に営業先まで車を使うなっと言われて雨の中を走った記憶が」
『唐突なブラック』
『ユウも苦労していたんだね』
自分たちは車で行くくせに俺たちには絶対使わせなかったんだよな。
マジでへとへとになりながら向かったのを思い出すよ。
「シエルとシラユキはあちらですね」
『何をやっているの』
「雨の中を駆けっこですね」
ヒヒ~~~ン!!
ワンワン!!
本当に楽しそうに走っているな。
シエルは水属性持ちで、シラユキは氷属性だからな。
雨なんて気にしないんだろうな。けどな・・・
「・・・この子達のために風呂を沸かさないとな」
『遠い目になってる(苦笑)』
『これが小さい子供だったら、服洗いがあるからマシだと思うよ』
「それはそう」
と思いつつも、シエルたちをそのまま家の中に入れると汚れるからな。
「こういう時に便利なオニキスが卵に魔力を分け与えているからな」
『あっ』
『どうする?』
「いつも、オニキスが良くしてくれているからな。これぐらいは自分でしないとね?
さてと・・・シエル!!シラユキ!!」
ヒン?
ワン?
「早く戻ってこないと、昼飯抜きにするぞ!!」
ヒン!?
ワフ!?
と言った瞬間、ピューーっと走ってきた。シエルとシラユキは食いしん坊だからな。
これが効果的なんだよね。
「ストップ」
ヒン
ワン
「めっちゃドロドロだな」
『お互い見た目が白なのに、今はドロドロだ』
『ドロドロ・・・閃いた!!』
『通報した』
「何かこのやり取り・・・前にも見たことがって今はそうじゃないな
お前たち、お互いの姿をよく見てみろ」
ヒヒン
ワン
とお互い顔を見て首を傾げていた。
可愛い。
『可愛い』
『この子達の癒しが俺たちの体力を回復させる』
『ポーションじゃないんだから』
『けど・・・めっちゃグッ!!ってなるな』
心臓を抑えてる人がいるようだ。そこまでときめいているなら嬉しいが、
俺的にはな?
「お互い、めっちゃ汚れているからこのまま風呂に直行するぞ」
ヒン
ワン
「元気なのはいいことだし、前のダンジョン配信で中途半端に終わったから有り余っているのかもしれないな」
う~~~ん。どうするべきか?
ダンジョンに挑みたい手気持ちがあるんだろうが、今はな。
「卵が産まれるまでは、ダンジョンには挑めないよな」
ワン
「シラユキは分かっているな。シエルは・・・」
ヒン
「めっちゃ落ち込んでいるな。・・・あの卵は生まれるのはいつになるんだろうね?」
『確かに』
『調べたりはしていないの?』
「モンスターの卵を持ち帰ること自体が初めてなので、
全然ネットとかで調べはしたんですが、参考的なのは載っていないんですよね」
動物病院とかにも聞いては見たが、初めてのことで分からないんだと。
「・・・とりあえず、お前たちはちょっと汚いから、お風呂場に直行だな」
ヒン
ワン
「・・・綺麗にしたら、縁側でゆっくりしようか。こういう配信があってもいいよね?」
『のんびりも1つの配信だよ』
『シエルちゃんたちを洗うのって』
「配信には載せませんよ。さすがに・・・ってセンシティブじゃないから映してもいいな」
ってことで配信用ドローンが防水機能なのを確認し、シエルとシラユキの体を隅々まで洗うのだった。
「お前たち気持ちいいか?」
ヒン♪
ワン♪
「これが好きで汚れたわけじゃないよね?」
『もしかしたら・・・』
『あり得るのでは?』
『けど、可愛いからOKです』
「可愛いは正義ですよね本当に」
と視聴者の皆さんと話しつつ、シエルとシラユキを洗うのだった。
洗い終わって、ドライヤーをかけた後、ぐっすり眠った。
「これだけぐっすりだと怒る気も起きないな」
『めっちゃ可愛い!!』
『ぐでってなってて、国宝級に可愛い』
『いつもこんな感じですか?』
「そうですね・・・」
っと視聴者に日常を話しつつ、シエルとシラユキの頭を撫でる俺なのであった。
配信は、1時間半で終了した。
オニキスはその間も魔力を分け与えていたのだった。・・・魔力の保有量ってオニキスは多いのかな?
「まだいける!!」って感じだったけど?




