第63話 まさかの隠し部屋!?
オニキスが見つけた隠し部屋は小さい部屋だった。
「大体・・・6畳くらいの部屋なのかな」
『意外と狭かった』
『隠し部屋ってこんなもんじゃね?』
『いや、隠し部屋から特殊なモンスターが出てくることもあるらしいぞ』
『マジか!?』
それは聞いたことがある。
確か・・・アメリカのダンジョンで隠し部屋を見つけたパーティーが出会ったのが
とんでもなく強い狼だったと。名前が『フェンリルロード』ってつけられた魔物の強さにパーティーはほぼ全滅したって。
「今回の隠し部屋は1つの部屋だけですね」
『ってことは?』
『もしかして・・・ゲームとかで言う醍醐味のものが!?』
「こちらですね」
と配信用ドローンをある《《物》》に向けた。
『やっぱりだ!!』
『配信とかではあんまり見たことがないよな』
『結構大きいな』
「確かに、意外と大きくて俺もびっくりしています」
そう。部屋の真ん中には大きい宝箱が。
RPGでは定番だよね・・・けど、コメントでも書かれているが、めっちゃ大きいんだよな。
「これって、ミミックのパターンってあるのかな?」
『ミミックか』
『それは確かに』
『けど、ミミックが出てきたって報告はないよな』
『言われてみれば』
そうなんだよね。
ミミックが存在しているかどうか。いまだに謎である。
宝箱自体がレアである以上、まだ遭遇していないだけかもしれないが。
「・・・シエル」
ヒン?
「あの宝箱は開けても問題なさそうか?」
ヒ~~~ン
シエルは魔力感知ができるからな。
あの宝箱に魔力があるのか確認してもらったところ、
ヒヒン♪
「ないんだな・・・よし、開けるか」
『宝箱を開けるのか!?』
『中身は何だろうな?』
『武器か防具か』
『もしくは装飾品とかかな?』
と宝箱を開けるとそこにあったのは。
「・・・・・どうしてだ?」
『なんだなんだ?』
『ユウの後ろ姿で何も見えないぞ?』
『何が入っていたんだ』
・・・正直これは予想外過ぎる。
だって、この宝箱の中に入っていたのは、
「これって・・・モンスターの卵なのか?」
『卵!?』
『宝箱からまさか過ぎるだろ!?』
『本当に卵が!?』
俺は宝箱からその卵を取り出した。
明らかにデカい。
高さでいったら、大体50cmぐらいか。
第一、モンスターの卵って確認されたことってあったけ?
「コメントの方々に聞きたいんですが・・・モンスターの卵って今まで見つかったことってありましたか?」
『それは・・・どうなんだろう?』
『ちょっと調べてみるよ』
『私も』
『俺も気になったし調べるわ』
とコメントしてくれた視聴者に確認してもらったところ。
「・・・どうでしたか?」
『一応、海外では何個か発見されたりはしているらしい』
『けど、卵の殻とかが発見されただけで、卵自体は初だと思う』
『めっちゃレアをユウは引いたってことだね』
「こんなところで運を使いたくなかったんだが」
う~~~ん、これはマジでどうしようかな?
ヒンヒン!!
ぽよん!!
ワン!!
「えっ!?マジで!?」
『どうしたんだユウ?』
『シエルちゃんたちが何か訴えているみたいだけど?』
「・・・この卵から魔力を感知できるみたいなんですが・・・どうやら結構弱っているみたいだと」
『本当に!?』
『ってことは卵の中にいるモンスターは』
『生きることを諦めかけているわけか』
そういうことなら、尚更放置するわけにはいかない。
宝箱から出てきたんだから、俺が所有してもいいんだよね。
「宝箱が発見された場合、いかなることがあっても、第一発見者の所有とする」
って探索者の法律載っていたからな。
「なら。俺たちでこの卵の世話をするか?」
『よく決心した!!』
『協会とかが動くかな?』
『だとしても無理だろ』
『どうして?』
『探索者法律で、宝箱が発見された場合、第一発見者が所有の権利を得るって書かれているからな。この場合、所有はユウのものになるからな。協会が横から奪い取ることは出来ないぞ』
ということで、この卵を回収することに。
「卵が孵ったときのことも考えないと・・・ってそうだよね」
ヒン
ぽよん
ワン
全員頷いているよ。
これは決まったようなもんか。
「新しい家族がこんな短期間で増えることってあるんだな」
『おめでとう』
『孵ったらすぐに配信してくれよ!!』
『これは期待が高まるな』
『何が生まれるんだろうな』
「本当にそれですよね。今回、卵をゲットしたため、今日のダンジョン配信は急ではありますが、ここで一旦終了とします。次回は、3日後に家で配信をする予定なので、よかったら見てくださいね!!それじゃあまたね!!」
ってことで配信を切り、俺はシエルたちを連れてダンジョンから出るのだった。
横に卵を抱えて。
ちなみに、隠し部屋は俺たちが出ていった瞬間、ブゥーーン!!という音とともに消えた。
もしかして・・・隠し部屋はランダムなのか?




