第53話 この子犬もまさかの・・・
「さてと。オニキスの光魔法を使用したけど、子犬を一度お風呂に連れていくか」
とちょっと汚れが目立っている子犬を朝食を食べて、片づけを済ませた俺は子犬をお風呂場へと担いだ。
ジャーーーーー!!
と子犬にシャワーを当てて、石鹸を用いて体を洗った。
犬はお風呂が苦手だと聞くが、この子犬は逆に気持ちいいのかだら~~っとしてる。
されるがままだ。
もう一度ジャーーーと体を洗い流して、お風呂場を出たら、
ブルブルブルブル!!
「まぁ、こうなるよね」
テレビで犬が出た時は必ず見る光景を実際に体験すると、少しダルい。
周りを拭かないといけないのは面倒が過ぎるな。
ゴシゴシ
と拭いて、ドライヤーを当てると、
とろ~~~りって感じで溶けているんだが。
「シエル用のブラシが大活躍だな」
クゥ~~~ン
ドライヤーで乾かしが完了した後、ブラシで毛を梳かす。
すぅ~~~と入る当たり、毛は柔らかいな。
ごわごわだったら力がいるから助かるよ。
「それにしても、どうしてお前はあんな場所にいたんだ?」
ワウ?
「覚えていないんだな」
と言ったら、コクっと頷いたため、何にも覚えていないのが分かった。
っていうか、俺の言葉が分かるんだな。
知能は高そうだ。
「しかし、お風呂で洗って綺麗になったが、シエルと同じ真っ白だな」
シエルも白でこの子犬も白。
何か関係があるのか・・・って何でこの子犬をモンスターとして見ているんだ俺は!?
「・・・・・一応試してみるのもアリなのかな?」
ということで、シエルとオニキスにお留守番をお願いした。
「今日、俺は子犬がモンスターかどうか分からないから、一度ダンジョンに行く。
2人にお留守番をお願いしたいけどいいかな?」
ヒン!!
ぽよん!!
「ありがとな」
本当は付いていきたいんだろうが、俺のことを思って我慢してくれるみたいだ。
この子達本当に賢すぎない!?
「それじゃあ、レッツゴーー!!」
ワンワン!!
とこうして、子犬と一緒に甲府ダンジョンに向かうのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まさか・・・高橋さんが今日は有給だったとは」
甲府ダンジョンに行ったら、高橋さんは今日は有給でお休みだった。
別の受付の方に手続きを済ませてもらい、更衣室で着替えた。
ダンジョンギルドには購買があり、初心者用の防具も売っていたり、
携帯食料が売っている。
実は俺もここに最初に来た時に防具を買っていたのだ。
説明していなかったが・・・・。
高い金額を用いることで鍛冶屋に頼むこともできる。
全部オーダーメイドで、約500万とかするんだと。
鍛冶屋は鍛冶のスキルを持った人しかなれないし、日本で300人いるんだとか。
「さてと、入るとするか」
子犬はリュックの中にいる。
さぁ~~~て、本当にモンスターかそれとも、ただの野良犬のどっちかな?
・・・・・・・・・・・・・・
「久しぶりに来たな」
久しぶりって言っても2週間前ぐらいだよな。
濃ゆい日々を過ごしているから、どうも久しぶりだと感じてしまう。
「ほら。出てきていいぞ」
キャン!!
めっちゃテンション高くない?
凄いフルスロットルでかけているんだが・・・迷子にならないよな?
「・・・・・・戻ってこい!!」
ワン!?
と大きな声で叫ぶことで、ビクッとなってこっちに回れ右して歩いてきた。
「まったく、これで離ればなれになって。
迷子になったらどうするんだ?」
・・・はっ!!キャンキャン!?
「うぉ!?」
迷子になった自分を想像したのか俺に抱き着いてきた。
本当にもう。
「俺の許可なく勝手に行かないこと。いいな」
ワン!!
「いい返事だ」よしよし
クゥ~~~ン♪
と頭をなでるとすりすりとしてくる。めっちゃ可愛い。
「・・・よし!!試してみるか」
クゥン?
「お前がモンスターかどうかを今から試してみる。いくぞ!!」
ワン!!
「<テイム>!!」
と発動したその時、子犬との間にパスがつながる感触が・・・ってことは?
「・・・まさかのモンスターだったよ」
シエルの時といい、どうしてモンスターがダンジョン外から現れるんだよ!?
可愛いからヨシ!!・・・じゃないんだが。
「お前もモンスターだったとは」
クゥ~~~~ン
「そんな悲しい目をするな・・・って名前が欲しいのか?」
ワンワン!!
「名前か・・・見た目が白だからな」
シロは安直だしな。
「・・・決めた!!今日からお前は『シラユキ』だ!!」
雪のように真っ白な見た目だからな。
安直だが・・・
ワォ~~~~ン!!
「気に入ったか?」
ワンワン!!はっはっはっ
と俺の周りをぐるぐる回っている、どうやら気に入ってくれたようだ。
「今日から宜しくな。シラユキ」
ワン!!
問題は・・・これを高橋さんに報告しないといけないよねぇ~~~。
また、怒られる未来が見えてくるよ。トホホ。




