第52話 今日こそゆっくり・・・って何でこんなところに!?
3人娘との探索が終わった次の日。
「う~~~~ん、いい天気だな」
体を伸ばしながら起きた俺は朝ごはんの準備に取り掛かった。
今は5月の下旬か・・・・ってここに来てからまだ1ヵ月なのか?
にしては濃ゆい生活な気がするな。
ヒヒ~~ン!!
「おはようシエル」
ヒン♪
起きてきたシエルに牛乳と作ったスクランブルエッグを専用の皿にのせてだした。
それをおいしそうに食べるシエルの頭を撫でながら、
「お前と出会ってからまだ1ヵ月なのか」
ヒン?
「シエルと出会えてよかったと思っているだけだよ」
ヒヒン♪
俺の言葉が嬉しかったのかめっちゃ笑顔。本当に可愛いな。
この子との出会いで俺の人生が一気に変わったからな。
「今日はオニキスも含めて家族全員でゆっくりしようか?」
ヒン!!
良かった。これで「いやだ!!ダンジョンに潜りたい!!」って反応だったらどうしようかと思ったぞ。
「ところでオニキスは?」
ヒン?ヒヒヒン
「廊下や翠たちが泊った部屋を掃除しているのか」
オニキス君マジ有能過ぎないかな?
「なら・・・そろそろ戻ってくるのかな?」
と言ったそばから、ぴょんぴょんと音が聴こえてきた。
「来たか・・・って何か音が激しいような?」
ぽよん!!
「おぉ!?おはようオニキス。お疲れさん」
ぽよん!!ぽよよ~~~ん!!
「どうしたんだオニキス?」
ぽ~~~よん!!
「何かあったのか?」
とコクと頷いたオニキスを見て、シエルより大人な雰囲気を持つオニキスが慌てるってことは相当なことが起きたってことか?
「案内してくれ」
ぽよん!!
「任せて」っていうオニキスを先頭に俺とシエルも一緒に付いていった。
「裏庭のほうか・・・うん?」
ヒン?
俺の家の裏庭の奥は山になっている。その山に向かっていくのだ。
山の方に一体何が?
クゥ~~~ン
「うん?何か声が聞こえてくるような?」
ヒン?
「シエルも聞こえたか?」
ヒンヒン
一体何がいるんだ?
ぽよん!!
「そっちかオニキス・・・ってえっ?」
そこにいたのは全身がぼろぼろの白い子犬だった。
どうしてこんなところに子犬が?ってそんなこと言っている場合じゃないな。
「タオルを持ってきておいて正解だったな」
とタオルで包もうとすると、
ガウ!!
「痛!?」
噛んできた。見た目がぼろぼろなのに、噛む力はまだあるみたいだな。
「・・・・大丈夫。お前のことを傷つけるようなことはしないよ」
と噛まれていないほうの腕を伸ばして頭を撫でた。
グルルル!!
ヒンヒン!!
ぽよんぽよん!!
ガ・・・ウ?
どうやらシエルとオニキスが俺のことをこの子犬に話しているらしい。
どんどん嚙む力が弱くなっていくのが分かる。
そして、
「くすぐったいな」
ペロ・・・ペロ・・・
どうやら俺を味方だと判断してくれたようだ。
噛んだところを舐めてくれている。
「何でこんなところにいるのかはさておき、すぐに家に戻ろう」
ということで、俺が子犬を抱えつつ全員で家に戻った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぽ~~~よん!!
ピカッーーー!!
ぽっよん!!
「ありがとなオニキス」
ワンワン!!
戻ってきた俺たちはまず、オニキスに俺が噛まれたところと子犬の体を光魔法で
癒すように指示をした。
オニキス曰く、ゴロゴロと日課の掃除をしていたら、裏庭から犬の鳴き声が聞こえてきたから、何かあったのかもっと思い、けど1人での判断は危ないと思い、急いで俺を呼んだとのこと。
本当にオニキスは冷静だな。とっさの判断が大人顔負けだよ。
褒めるように頭を撫でていたら、
ぽよん♪
じっ~~~~。
「凄い見てくるが・・・撫でてもいいか?」
ワンワン!!
「分かったから!?ほらっ」
クゥ~~~ン
凄いふわふわ。めっちゃ気持ちいいんだが。
撫でた感触が柔らかすぎてびっくりした。それと同時に気持ちいいのかでろ~~~んとしてる。
「そういえばシエルは?」
ヒヒ~~ン
「風魔法でそこまで器用なことが」
風魔法で牛乳と皿を運んできた。
子犬に飲ませるために持ってきたのか?
「お前も日々成長しているんだな」
ヒヒ~~~ン♪
とシエルの頭を撫でて、皿に牛乳を注いで子犬の前に置いた。
ゴクゴク
「勢いよく飲んでいるが、お腹すいていたんだな」
ワン!!
「って俺とオニキスもまだだったな。すぐに用意して食べるか」
ぽよん
と俺とオニキスが一緒に居間で食べることに。
「シエル。子犬に何かあったらすぐに報告してくれ」
ヒヒン!!
とシエルに頼んでからちょっと遅い朝食にするのだった。
「しかし・・・何でこんなところに子犬が?しかも、めっちゃボロボロだったけど訳ありなのかね?」
ぽよん?
う~~~ん。本当に謎だ。
首輪が付いていないから野良犬なのかな。
じゃあ何であんなにぼろぼろなのかが分からない。
誰かがこの山の麓に子犬を捨てたのか?
周りの家に犬を飼っている人はいたが、柴犬だったんだよな。
まさかモンスター・・・じゃないよな、ハハハ。
これが後にフラグになることを俺はまだ知らずに飯を食べるのだった。




