第50話 う~~~ん。この温度差
3人が戦闘面での話し合いをしている間、俺はというと。
「シエル!!どうだ?」
ヒンヒン
フルフルと首を横に振る。ここらへんにモンスターはいないようだ。
オニキスを頭に載せつつ俺は一応のために周りを警戒していた。
「ダンジョンってやっぱ不思議だよな」
ぽよ~~~ん
俺の発言に相槌?をしてくれた。
周りは全部岩、岩、岩なんだよな。テレビで見た洞窟みたいな感じ。
それで、ボス部屋には専用のフィールドがある。
いまだに解明されていないもんな。ダンジョンのすべてが。
「けど、こういう神秘的な空間もアリだよな」
と思っていたら、彼女たちが戻ってきた。どうやら作戦タイムは終了したみたいだ。
「そっちは終わったかな?」
「はい。一応のため、作戦は組み立てて2人にも話しました」
「後はこれを実戦でできるかだよね」
「やってみる」フンス
とだいぶやる気みたいだな。
ヒンヒン!!
「どうやらシエルが敵を感知したらしいな」
「美鈴!!」
「うん・・・こっちも感知できた」
「やるわよ!!」
「彩奈?」
「・・・はい、いきなり飛び出したりはしません」
う~~~ん。これは十分絞られたみたいだな。
猪突猛進に行くのはいいが、それじゃあパーティとしての連携なんて関係ないからな。すぐに死んじゃうからね。
「モンスターは4体」
「4体ね・・・2人とも手筈通りに動いてね」
「分かった」
「うん」
さてと、3人の戦い方がどう変わるのか。
シエル?突撃しようとしないでね。
オニキス?援護はしたらいけないよ。
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栞視点
さてと、話し合った通りに動いてくれるのかしら?
「コボルトが4体ね」
どうやらこっちに向かってきたのはコボルト4体。
さっきより1体多いけど、これなら。
「まずは美鈴!!先制攻撃をお願い!!」
「うん。<ライトニングランス>」
美鈴は雷魔法をスキルで覚えている。
ギャン!?
これで1体は倒せたわね。そしたら・・・
「私が引きつけるから、彩奈は背後に回って!!」
「うん!!」
「美鈴は私がさばききれなくなって攻撃しようとしたコボルトをけん制して!!」
「分かった」
と私は盾を前にだして、コボルト2体の攻撃を受けた。私のスキルは盾術。名前の通り盾の扱いが上手くなり、体が頑丈になるすきるだ。女性としては欠陥かもしれないけど、そんなことはささいなこと!!・・・と言えたらいいな。
受けきってそのまま弾き飛ばした私に、もう1体のコボルトが死角から仕掛けてきたが。
「<サンダーボール>」
クゥン!?
「ナイス援護!!」
「えっへん」
美鈴の牽制攻撃で、痺れて動けなくなったみたいね。それで彩奈は。
「はっ!!」
ギャン!?
どうやら弾き飛ばされて動きが悪くなったコボルトを1体倒せたみたいね。
もう1体のコボルトが彩奈に気づいて飛びかかろうとしたのを私が横から盾で吹っ飛ばした。
「はぁぁ!!」
クゥン!?
「今よ、彩奈!!」
「せやぁ!!」
ギャウン!?
とこれで3体のコボルトを討伐できた。残り1体は・・・。
「ブイ!!」
「やりすぎじゃないのこれは?」
「完全に真っ黒こげね」
「けど、こいつ生きてるよ」
「あなたの魔法がもっとレベルが高いなら倒せるんじゃない?」
「まだ無理」
ライトニングランスはまだ1発しか撃てないから仕方ないわよ。
けど、これで。
「作戦決まると簡単にうまくいくわね」
「けど慢心したらいけないわよ彩奈」
「分かってるってしぃ」
「けど、安全に倒せた」
「意外とこれが一番いいのかもね」
「これが5体の時は私が4体の攻撃を庇いながら、後ろから彩奈を通す形がいいのかもね」
「美鈴の先制がもし外れた時も考えないとね」
「むぅ。外さない」
「って言って、一度外したことがあるじゃない。彩奈の言うとおりそこも考慮したほうがいいわね」
と戦い方について3人で話していたら、波多野さんが従魔たちを連れてやってきた。
・・・やっぱりモフりたいわ。
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優馬視点
「作戦が決まるとさっきとは全然違っていたね」
「波多野さんのおかげですよ」
「いや、逆に初心者の意見だから余り信じすぎなくていいからね。強さ的には俺より3人の方が強いんだから」
「そうですが・・・」
「けど、事前に戦い方が決まるとある程度動きが決まるのはいいよね」
「柔軟な対応が求められるけど」
「うぐっ!?」
「そこは慣れていくしかないわよ」
う~~~ん。俺よりも貫禄がもう出ている気がしてならない。
って言っても俺はダンジョン潜ってまだ。2週間ちょっとのペーペーだから仕方ないよね。
「まだモンスターがくる!!」
「次は!!」
どうやら、次のモンスターが出てきたらしい。
見た感じゴブリンが5体だな。
これなら。
「楯川さん」
「何でしょうか?」
「ここは俺と従魔たちでやるから休んでて」
「えっ!?波多野さん!!」
「シエル!!風を使ってゴブリンの動きを封じて!!」
ヒン!!
とシエルの風魔法で視界を奪った後、俺が突っ込んで1体を切り捨てた。
グギャ!?
グググギャーー!!
「今だ!!オニキス!!」
ぽよ~~~ん!!
ギャギャ!?
と俺の頭に張り付いていたオニキスが下りて、すぐにゴブリン4体の動きを触手を使って封じて上に投げた。そして。
ヒヒ~~~ン!!
シエルの特大の風の塊によって4体のゴブリンが魔石に代わるのだった。
「・・・すご」
「これは・・・」
「・・・」ぽか~ん
女の子3人はそれを見て絶句しているのだった。




