第49話 ・・・何だこれ?
「まさか、配信以外で来ることになるとは」
あの配信から3日後、俺はシエルとオニキスを連れて静岡ダンジョンにやってきた。
やってきた理由としては。
「本当にすいません」
「私たちのために来てくださって」
「頑張る!!」
探索者学校に通っている楠さん、楯川さん、大川さんの3人と一緒にダンジョンに挑む日なのだ。
実は彼女たちが通っている静岡の探索者養成学校をネットで調べてみると、本当に偉い親の子供たちが結構入学しているらしく、評判がめっちゃ悪いことが分かった。
他にも、福岡とか広島も同じようなことが起こっているらしい。
東京や大阪は人口が多いから、養成学校も複数あるらしいが、静岡や広島など人口が多いが学校が1つしかないところはこういうことが起きているらしく、さすがに協会も動いていて、いくつかの県に学校を複数建てる話をしているらしい。
ただ・・・それがいつになるのやら。
実のところ、日本の探索者に関する条例は遅い。世界で一番探索者に手厚いのがアメリカだとするなら、日本はその10分の1も満たないだろう。
これも・・・上の人間が権力使ってやりたいようにやっているからなぁ~~~それで下の人間が育たないんだよね。
「学校の増設も何時になるやらってことだね」
「はい」
「あいつら、それでいながら私たちをバカにするからね」
「そうなんだ」
「陰湿な人も中にはいて、何人かは辞めて別の学校に行く人もいるみたいですが・・・」
「お金の問題か」
「はい」
転校するにしてもお金はかかるからね。仕方ないだろう。
でもなぁ~~~。
「協会に新しい風が吹くことを祈るしかないかもね」
「そうですよね」
「「「「・・・・・」」」」
うん、めっちゃ暗くなったんだがこのままじゃいけないよな。
「暗い話はここまでで、とりあえずダンジョン行こうか?」
「そうですね」
「はい」
コクリ
とこうして女子高生3人とダンジョンに潜ることに。
その際、嫉妬の視線が少し刺さったのは内緒だぞ。
受付嬢からも「うん?」っていう目で見られていたからな。
そんなにおかしいかね!?この中に俺がいるのは。俺も若いだろ!!
※十分おかしいです。
「さらっと入ったけど・・いつもはどういう戦いをするの?」
「それを一回見せようかと思いまして」
「そうだね。じゃあこっちもシエル、オニキス。出てきていいぞ」
ヒン
ぽよん
リュックの中に隠れてもらったシエルとオニキスを外に出した。
そして、全員で歩くこと3分ぐらいで、
ヒヒン!!
「こっちにモンスターがくるよ」
とシエルと大川さんが反応した。
どうやらモンスターがこっちに向かっているらしい。
遠目で見た感じゴブリンが3体かな?
「それじゃやるよ。みぃ!!しぃ!!」
「うん!!」
「分かった」
と楯川さんは大きな声で、大川さんはいつも通りの声で反応して戦うことに。
その結果は・・・・・
「う~~~ん」
「どう・・・でしたか?」
「素人目線にはなるが・・・連携とは?」
いや本当にひどかった。
素人の俺の目から見てもえっと思うしかない。
「楠さんはすぐに突っ込みすぎだし、挟み撃ちされかけたよね」
「はい・・・」
「大川さんの援護がなかったら、怪我した可能性が高かったよ」
「すいません」
「大川さんは逆にちょっと楯川さんの方を見過ぎかな。
指示待ち人間になっちゃいけない気がする」
「うん」
「魔法の援護は良かったけど、そこからどうしようかでパニックになっていたよね」
コクリ
「楯川さんは・・・タンクで指揮官の役割があるんだね」
「そうですね」
「う~~~ん。タンクだから前に出なきゃいけないのに指示を出す必要があるわけか。う~~~ん」
猪突猛進気味な剣士に、指示をしないとパニックになる魔導士、前衛なのに指示を出す必要があるため、前に出るのが遅れるタンクって・・・これはどうすればいいのかなぁ?
「一番やるべきは3人の連携力だよね」
「そうですね」
「ならば・・・先に考えるべきなんじゃないかな」
「考えるって何をですか?」
「戦い方を決めるんだよ。この数のモンスターが現れた時に予めどう対処するかを」
「「??」」
「・・・そういうことですか」
「楯川さんは気づいたね」
「確かに、最初から戦い方を決めれば私もすぐに前に行けますね」
「どういうことなのしぃ?」
「それはね・・・・」
と3人が話し合っている間、俺はシエルとオニキスと一緒に周りを警戒するのだった。
さぁてと、俺のアドバイスが上手くいくといいけどな?




