第48話 女の子3人とダンジョンに挑む前に・・・ほっこり
「さてと・・・どうしたもんか」
ダンジョン配信が終わった次の日、俺は昨日の疲れを癒すため休んでいた。
シエルとオニキスは庭で駆けっこをやっている。
俺が考えているのは昨日のあの1件だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日
「ダンジョン攻略の手伝いをしてほしい?」
「はい」
俺がユニモンチャンネルのユウであることが女の子3人のパーティーにバレた前回、
まさかのダンジョン攻略の手伝いをしてほしいと提案を受けた。
前にも説明があったと思うが、ダンジョンの攻略は1層に挑むのにも時間がかかる。初心者からしたら1層を攻略するのに時間がかかるのは当然のことであり、
俺が異常なのが分かる。
「私たちはダンジョン攻略を目指そうとしているんですけど」
「全然上手くいかなくて」
「連携もままならないから」
とのことで、1層のボスにダンジョン潜って2日で攻略した俺に指南してほしいとのことらしい。
ちなみに。
剣士の恰好をした子が楠 彩奈。
タンクの恰好をした盾持ちが楯川 栞。
魔導士の恰好をした子が大川 美鈴。
元々、中学からの仲で、全員同じ時期にスキルを獲得したんだと。
それを運命だと思い、探索者養成学校に入学してパーティーを結成。
けど、攻略が全然上手くいかず、このままではいけないと思うが、
どうすればいいのか分からないとのことらしい。
全員高校1年生。真奈美と同じ歳だ。
「俺のような素人よりも学校の先生の方がいいんじゃ?」
「それが・・・」
「学校はクソ」
「こらみぃ!!」
「フン!!」
「どういうこと?」
と楠さんに聞くと、そりゃあ大川さんの態度は正しいと思う。
静岡の探索者学校は、偉い人の子供とかが多くて、そっちに先生たちは付きっきりらしい。まともに教えてもくれないそうだ。
「それで、私たち一般家庭の子たちは結構スルーされるので」
「抗議をしても意味がなかったってことか?」
「はい。抗議したとしてもまったく取り扱ってはくれないので」
「結構無茶する」
「それは・・・」
う~~~ん、社会人あるあるだよな。
偉い人の子供が来たせいでそっちにかかりきりになる現象だよな。
その結果、他の人たちは無視するようになるんだよな。
「なるほどね・・・って言っても俺もダンジョン攻略が得意なわけじゃないしな」
「そんなに強いのにですか?」
「強いのはこの子達だからな」
ぽよん?
「あの~~~シエルちゃんは」
「シエルは・・・」
Zzzz・・・・
「寝てるね」
「疲れて寝ているんですね」
そりゃああんなに苦戦したのは初めてのことだからな。
疲れて寝るあたりは子供なんだと実感するよ。
「お願いできますか?」
「俺のことを秘密にしてくれるなら別に問題ないけど」
「だって、しぃ!!みぃ!!」
「大丈夫です。絶対に秘密にします」
「私も大丈夫」
「みぃが一番心配するけどね」
「ぼぉ~~~っとしている時が多いからね」
「むぅ」
本当に仲がいいんだな。
「とりあえず・・・何時やるか?」
「早いうちがいいと思いますが・・・何時やりますか?」
「俺としては3日後ぐらいでお願いしたい。今日の疲れが明日とれるか心配だ」
「今日はしっかり休んでくださいね」
「歳なの?」
「「みぃ!!」」
「歳っていうよりは、ブラック企業に去年まで勤めていたからね。体力が回復していないんだよ」
「そうだったんですね」
ということで、彼女たちと3日後にダンジョンに挑むことが決まるのだった。
俺と楠さんが軽い打ち合わせをしていた横で。
「本当に可愛いです」
「ぷよぷよ」
ぽよよん♪
と楯川さんと大川さんがオニキスをつついて遊んでいた。
それを打ち合わせを見ながら、悔しい顔をしている。
何かごめんなさいね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まさか俺が教える立場になるとは」
ヒン?
ぽよん?
「駆けっこは終わったか?」
ヒン!!
ぽよん!!
「お前たちは元気だね?」
俺がのんびりしたいんだが、どうやらこの子達は遊び足りないらしい。
昨日ぐっすり寝て完全回復しているようだ。
その分俺は、全然回復していないんだが・・・
「とりあえず、次のダンジョンは明後日だからな
それまではゆっくりするぞ」
ヒヒ~~~ン!!
ぽよ~~~ん!!
こうしてつかの間の休暇をまったり過ごすのだった。
何か、縁側でお茶を飲むのはお通だよな~~~。




