第5話 俺のスキルは世界でただ1人!?
人がスキルを覚えるとき、体に尋常にない熱がくるらしい。
そうネットに書かれていたが、いざ自分が体験するとなるとふざけんなと声を荒げたい。
「熱い熱い熱い!!」
めっちゃ熱い。体全身が燃えるかのようだ。こんなにも熱いとは思ってもみなかった。
熱さに耐えきれず、ゴロゴロ畳の上を転がりながら熱が冷めるのを待っていると。
ヒンヒン
「どう・・・したシエル・・」
名付けをした仔馬ことシエルが俺の服を軽く引っ張った。どうやら何か俺にしようとしているらしいが、何をするのだろうか?
ヒン!!
「うぉ!?・・・・めっちゃ涼しい」
どうやらシエルが風を起こしたみたいだ。魔法か何かだろうかめっちゃ気持ちがいい。俺が体が熱くてきつそうにしていたのを見て、涼しくしようと魔法を発動させたみたいだ。
「・・・探索者が魔法を放つのはテレビで見たことがあるが、こういう体験をしたのは俺ぐらいだろうな」
シエルの風のおかげで気持ちよくなっていた俺は、体の熱が消えているのに気付いた。大体1分ほどかな。
「ネットの記事以上の熱さだったが、シエルのおかげであまり感じなくて済んだよ。本当にありがとな」
ヒンヒン♪
とお礼に頭を撫でたら気持ちよさそうに頭を俺の手のひらにこすりつけてきてめっちゃ可愛い。
「とそうだった。シエルに必要な寝床とかは明日以降に買うとして、今日は・・・一緒に寝るか?」
ヒヒン!!
ということで俺は布団を敷いて一緒に寝ることにした。
「・・・スキルを獲得したのはうれしいが、俺はどんなスキルを獲得したのかな?」
と疑問を抱きつつも、シエルの体温を感じながら寝るのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次の日の朝。俺はシエルを横に乗せて車を出した。
車は軽自動車で買ったのはよかったが、あんまり乗る機会がなかったんだよなブラック企業のクソ上司め。おかげでここに来るまでの運転で結構危うい運転になったぞ。
「じゃあ行くとするか。探索者ギルドに」
ということで甲府にある探索者ギルドに向かうのだった。探索者ギルドは、探索者協会の傘下で、探索者が所属している組織になる。スキルを獲得した者は、ここでライセンスを発行してダンジョンに潜ることができるようになるのだ。
そして、倒したモンスターのドロップ品の換金ができる。都道府県ごとに支部があり、山梨県の場合甲府に支部がある。本部は東京だ。
ギルドには鑑定所があり、そこで自分の獲得したスキルが分かるということで向かうことにしたのだ。
ギルドに到着し、シエルには車の中でお留守番をお願いして、俺はギルドの中に入った。
「いらっしゃいませ。今日はどのような用件で探索者ギルド甲府支部に?」
「スキルを獲得したので、鑑定をお願いしたいと思いまして」
「分かりました。それではこちらの部屋にお入りください」
と受付の案内のもと、鑑定できる部屋の中に入った俺の目の前にあったのは1つの水晶玉だった。
「これに手をかざすとステータスが出るんですか」
「ステータスというよりはその人が持つスキルが表示されますよ」
「分かりました。それじゃかざします」
と水晶の上に手をのせた瞬間、俺のスキルが浮かび上がった。
波多野優馬
スキル:テイム
「えっ?」
と驚いた受付の女性が固まってしまったがどうしたんだろうか?
「どうしたんですか?」
「テイムは・・・今まで誰も・・手にしたことがないスキルだと・・」
「えっ・・・・・・・えーーーーーー!!」
どうやら俺のスキルは世界で初めて獲得されたスキルらしい。
・・・嘘だろ。




