第43話 鑑定所はコソコソと・・・
配信が終了した俺は、シエルとオニキスをリュックに隠し、更衣室に向かった。
実は、ギルド内に探索者が着替えるための更衣室が存在している。
これなら、身バレすることはないだろう・・・声でバレることもあるが、
俺の配信のメインはシエルとオニキスだから、大丈夫たとは思う。
「さてと・・ギルド内は人がいっぱいだな」
結構人が集まっているな。
今の時間は11時ごろ。静岡ダンジョンに到着したのが9時17分だから2時間弱はダンジョンに潜っていたんだな。
所々で配信を見ている人たちもいるみたいだ。
・・・・俺の配信を見ている人もいるよな絶対に。
「すいません、ダンジョンから戻ってきました」
「分かりました。お名前を教えていただけますでしょうか?」
と名前を報告し、探索者資格を見せて間違いがないかを確認してもらった後、
鑑定所に向かった。
「すいません、鑑定してもらってもいいですか?」
「いいですよ」
「こちらをお願いします」
「・・・すごい小魔石の数ですね」
「1層をぐるぐる動き回っていたので」
「そうですか」
「それにしても・・・結構な人の数ですが、いつもこんな感じなんですか?」
「いいえ、この時間帯だとお昼を食べる探索者が多いので少ないはずですが・・・」
多分ざっと数えて5・60人ぐらいの人がいるんだが。
「もしかしたら、最近配信している探索者目当てかもしれませんね」
「配信している探索者ですか?」
「はい。何でも特殊なモンスターを従属している探索者がここで配信しているのではと考えている方がいるんだと思いますよ」
「・・・ソウデスカ」
それは確実に俺のことだよな!?
もしかして・・・場所がバレているのか!?
「ここにいるんですか?」
「いるかもって話ですよ。ただ、前にネット掲示板に甲府にいたことがバレているみたいだから、山梨県の隣接の県である長野・埼玉・東京・神奈川、そしてここ静岡のダンジョンのいずれかだろうと探索者の間で話題になっているみたいなんですよね」
「なるほど」
「それプラスで、従魔たちを一目見たい一般の方々も来ているみたいで、何か東京のダンジョンは人であふれているみたいなんですよね」
「そうなんですか・・・あははは」
何か・・・本当にごめんなさい。東京のダンジョンの受付している方々。
「それでは鑑定の方に移らせていただきますね」
「お願いします」
と鑑定をしてもらっている間、俺は椅子に座って寛いでいた。
そしたら、前から
「ユニモンチャンネルの配信終わったって」
「もう終わったの?」
「リアルタイムで見ていたけどすごかったよ」
「そんなに?」
「だって、シエルちゃんもオニキス君もめっちゃ強かったの!!」
「あの見た目で?」
「なら見てよ。この配信を」
と後ろから、若い女性2人が俺の配信した動画を見ていた。
何か気まずいし恥ずかしいんだが、ここで何かしらのアクションを出すとバレる可能性があるからな。マジで気を付けとこう。
「鑑定番号・4番の方。鑑定所までお越しください」
「あっ。呼ばれたな」
と呼びだしを受け、向かうことに。
「鑑定番号・4番の方!!」
「はい」
「鑑定が終了したので、報告させていただきます」
「お願いします」
「今回魔石を鑑定したところ、全部小魔石で、魔石の純度がBが5個、Cが12個、Dが9個、Eが11個の合計37個で、合計金額が54360円になります」
Bの魔石にCの魔石が一番多かったため、結構いい金額を稼ぐことができた。
1日でこれぐらいの金額を稼げるのは悪くないな。
それも、シエルとオニキスのおかげな部分が大きいけどな。
「お金は現金で受け取りますか、振り込みにしますか?」
「振り込みでお願いします」
と精算が完了して、いざ帰ろうとした時だった。
「何か・・・人が増えてないか?」
めっちゃギルドに人が集まっているんだが、
鑑定所に来た時よりも増えているぞ?
「翠からL〇NEが・・・って『掲示板をみなさい!!』?」
と翠からのメールとURLが送られてきたため、確認してみたら・・・
『ユニモンチャンネルはどこで配信を?』
『甲府じゃないってことは隣接している県か?』
『さっき配信が終わったってことは、今鑑定している奴が怪しいのでは?』
『たしかにそうかもしれねぇ!!』
『急いで、鑑定をしてもらっているか、終わった探索者を探すんだ!!』
と書かれている掲示板を見て慌てた。
これはヤバい。今の俺のリュックにはシエルとオニキスがいる。
呼吸できるように開けているんだよな。
感知とかできる人がいたらすぐにバレてしまう。
しかも、掲示板を見た人がいるのか少々視線が刺さっている。
けど、警備員が一気に増えて集まった人たちを仕切っているみたいで、
何とか逃れることができそうだ。
「これは・・・ここで走ったら疑われる可能性が高いからな。
ゆっくり且つ、だら~~~んとしたやる気のない感じで行けばバレいないよな」
とめんどくせえって感じで怠い感じで歩くことで、
この窮地を逃れることができたのだった。
車の中に入った瞬間、はぁ~~っと安どの息が出るのだった。
○○視点
うん?
「どうしたの?」
「今、モンスターを感知したから」
「ダンジョン外ってことは従魔ってこと?」
「今話題の配信者じゃない?」
「どこにいるか分かる?」
「う~~ん、ダメ」
「ここにはもういないってことね」
とあるパーティが俺の従魔を感知したことを、俺はまだ知らない。




