第35話 高橋さんと翠
翠を家に泊めて(その際に翠の両親と会話をしたが、おじさんの手を出すなよという怒鳴り声とおばさんのまぁまぁという声と共にちょっやめろ母さんという声が聞こえたが・・・スルーすることにしよう)、その後に真奈美と瑠莉奈が帰ってきて、
探索者の仕事について話をした。
「2人はこれから探索者として活動するのか?」
「勿論だよ!!」
「スキルを手に入れたからには頑張りたいって思っています」
「女性の探索者は大変だけど頑張れそう?」
「そんなに大変なのか?女性の探索者は」
「えぇ」
と一度お茶を飲んだ後、女性の探索者のきつさを語った。
「女性だから、男から性的に見られたりするし、探索者同士の喧嘩だと男性の方が力があるから、パーティーとかで活動しないと本当に狙われたりするからね」
「そうですよね」
「本当に嫌だよ。そういう目で見られるの」
「唯一のいいところはギルドマスターとかがいないことよね」
「そうなのか?」
「『体を使って階級を上げたのでしょ』とか言われていたらしいわ」
それは・・・確かにギルドマスターがいないことは女性にとってはプラスになるんだな。
「・・・ところで、優兄は配信活動するの?」
「それについては、受付嬢の高橋さんと相談して決めようと思ってな」
「いつ行きますか?」
「明日には行くよ。早いうちに決めたほうがいいしな」
「私も行くわ」
「翠も?」
「うん」
ということで、明日は翠と探索者ギルドに行くことになった。
ちなみに
「しっかり牽制してくださいよ」
「お願いしますね」
「それをお願いされてもね?」
という会話があったことを俺は知らなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・
次の日。真奈美たちを学校に行かせた後、俺たちは車に乗ってギルドに向かった。
「で、どうするの?」
「配信活動のことか?」
「シエルちゃんやオニキス君は絶対人気が出ると思うわよ」
「そうだけどなぁ~~~」
「不安なの?」
「配信活動にはアンチが付き物だし、住所特定班とかもいるんだろう?」
「それは仕方ないと割り切るしかないけど・・・シエルちゃんたちを一目見ようと家に来る人は増えるでしょうね」
「だろう。それがこの子達にとってストレスにならなければいいんだよ俺は」
これに尽きるんだよなぁ。絶対そういうことをする人は現れる可能性が高いから。
そこら辺を守れるようにしたいんだよ。
「それも踏まえて、高橋さんに相談しましょ?」
「そうだな」
と会話をしながら向かうのだった。
席の配置として、助手席に翠が座っていて、翠に膝の上にシエルが。オニキスが後ろでぐでぇ~~~としている。
「到着っと。シエルとオニキスはバックの中に入ってくれ」
ヒン
ぽよん
「スマンな。話が終わったら、少しだけダンジョンに潜るか?」
ヒヒン!!
ぽよん!!
「凄い乗り気なのね」
「この子達は見た目の割に戦闘狂なんだよな」
とシエルたちが入ったリュックを背負い、翠と一緒にギルドに入った。
「高橋さん」
「波多野さん?後ろの方は」
「初めまして。ユウの幼馴染の久保田翠です」
「初めまして。このギルドの受付嬢の高橋小夜と言います。
今日はどのような用件で?」
「高橋さんに相談したいことがありまして」
「分かりました。こちらの部屋で話しましょう」
ということで、高橋さんと前に話した部屋に入った。
「高橋さんはユウの配信活動は賛成なの?」
「私としては賛成ですね。女性に取って可愛いは正義なところあります」
「それは言えてるわ」
「そうなの?」
「だって、仕事で疲れた人にとって癒しは最高なのよ」
「そうですよ」
う~~~ん。2体1じゃ勝てないし、2人の社会人としての実体験から癒しが欲しいのも事実なんだろうな。
「問題は・・・アンチとか特定班なのかなぁと思って」
「後、協会の上の人間ね」
「そうですね。アンチはファンの数次第では数の暴力で何とかなると思うんですよ。そうなると」
「家で配信したときの特定班ってことか?」
「ダンジョン配信って感じでダンジョンの従魔の活躍を動画にするのがいいのかもね」
「もしかしたら、家での日常もみたいという人も現れるかもしれませんよ」
「それがあるのか」
と配信活動について話を詰めることに。
「配信活動はやる方向なんだな」
「そっちの方がお金を稼げるわよ」
「私としては毎日の癒しが欲しいという理由と、波多野さんがゆっくりできる生活を望むなら、そういう方向性がいいと思います」
「向こうも、配信活動で自主的にダンジョン攻略している人を無理矢理連れ出そうとはしないわよ」
と2人からの説得?を受けて、俺はリュックから出していたシエルとオニキスに話をした。
「シエルとオニキスは配信活動はどうだ?」
ヒン?
ぽよん?
これは・・・『配信って何?』って感じだな。
「2人はたくさんの人の視線は大丈夫か?」
ヒン
ぽよん
「シエルちゃんたちは何て?」
「全然気にしていないって」
それなら、配信活動の準備をしようかな?と考える俺なのであった。
11/4 追記
この度、この小説が10万PV突破しました!!
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