第34話 翠との世間話
「しかし、翠が探索者になっていたのに驚いたよ」
ぽよん♪
「そんなに驚くことかしら?」
ヒン♪
と俺がオニキスを撫でて、翠がシエルをブラッシングしながら、ゆったりしていた。
「こうやって会話するのは高校卒業以来か」
「そうね、あなたが東京の大学に行くって、おじさんが地元の大学でいいじゃねえかって愚痴っていたわよ」
「マジか・・・まぁそうだよな。地元で就職しろって言われてたし」
喧嘩にもなったもんだ。けど、実際地元で就職したほうが良かったかもしれないな。
「憧れの東京での仕事がブラックって」
「やめてくれ。俺の黒歴史だよ」
「フフフ。元気そうで本当に良かった」
「翠は高校卒業と同時に短大だっけ」
「そうよ。2年通って、偶々静岡のギルドの受付嬢の募集があったから」
「受けたら、内定をもらったと」
ギルドの受付嬢は結構大変だと聞いたことがある。個人情報の漏洩防止やダルがらみをする探索者に対する対応など、中々にハードだと。
「最初は大変だったけど、慣れていくと一つの事務作業みたいな感じよ」
「そんなもんなのか?」
「ある程度、この探索者にはこの人がって感じで決まっていたからね」
「なるほどね」
担当受付ってところかな?
「そこで揉まれた結果、気が強くなったと」
「その言い方は女性に対して失礼じゃない?」
「お前の昔を知っていたらな」
「ムッ」
昔の翠は今と真逆の性格だった。小学生の時は俺の後ろにいつも隠れたりしていたらかな。中学でも人見知りが強かったし、高校も・・・。
「高校の時のあれは酷かったな」
「あれ・・・ってあぁ。文化祭の時のことね」
「結構な騒動になったもんね」
「あの馬鹿は何をしているのやら」
高校時代。文化祭の体育館のステージである馬鹿が学年で一番綺麗と言われた女子に告白した事件。その馬鹿の取り巻きもこぞって好きな女子に告白するっていうカオス空間ができたんだよな。しかも取り巻き6人のうちの2人が翠に告白したっていう。
「あの時の翠はガチで怯えていたもんな」
「いきなりステージに立たされて告白されたのよ。こっちの気持ちをまったく考えていないじゃない」
「だからこそ、あの人の言葉は強烈だったよな」
「そうね。あの言葉に私は救われたわ」
馬鹿の告白を一刀両断したんだよな。めっちゃ覚えている。
確か・・・
「『あなたのようなノリで生きていて、人の気持ちをまったく考えていない人はぜ~~~ったいにお断りよ!!』だっけ」
「一気に会場がシーーンっとなったわよね」
「あれはスカッとする一撃だったよな」
マジで一瞬で空気を自分のものにしたからな。
学年一の美女の名は伊達じゃないな。
「そういえばその足立さんだっけ」
「確か苗字は足立だった気がするが?何か情報があるのか?」
「あんたとは別の理由で会社を辞めて戻ってきたらしいってお母さんが言ってたわ」
「俺とは別・・・ってことはセクハラとかか?」
「後、女の醜い嫉妬よ」
「・・・本当に醜い人間が住みやすい世界だよな」
「・・・そうね」
「そういう意味では探索者は個人事業だし、ノルマとかもないから助かるわ」
「そうね」
クソうるさい上司や仕事を押し付けてくるイヤな先輩とかがいない探索者事情は神なのかな?
「って言っても、パーティとかだと取り分とかスキルの強弱とかで嫌味を言う人も中に入るけどね」
「俺は個人だから大丈夫・・・と信じたい」
「私も舐められていたからね・・・だから、探索してモンスターをストレス発散のために倒していたわ」
「・・・ストレス発散」
翠も色々あったんだなぁ~~~。
「これからはこの子達とのんびり生活できるように頑張らないとな」
「生活を支えてもらっているからでしょ」
「まぁな。これからも一緒に頑張るぞ!!シエル!!オニキス!!」
ヒヒ~~ン!!
ぽよん!!
目指すはスローライフ!!ただそれのみ!!
「翠はこれからどうする?」
「どうするって?」
「泊るか?」
「・・・えっ、いいの?」
「翠なら大歓迎だよ」
「それって・・・///」
「?」
急に顔を赤くしてどうしたんだ?
「翠も一緒なら、従妹たちもだけど探索者としての助言が欲しいからな」
「・・・そういうことね」
「どうした?」
「何でもないわ・・・この鈍感」
最後に何を言ったかは聞き取れなかった。
その後、従妹たちも後一泊するってことになり、俺は3人とTVゲームをしたり、ダンジョンの情報を聞いたりしながら夜が更けるのだった。
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とランクインしていて、目が点になりました(笑)。
これからも投稿は続けていくので、応援のほどよろしくお願いします!!




