第15話 ちょっとした有名人に?
シエルと初めてのダンジョンに潜り、まさか1層のボスを倒すことに成功した俺は、今日稼いだ金額を見て実感が湧かなかった。
「・・・いざ口座を見ると・・・本当に30万入ってる」
俺が勤めていたブラック企業の給料が大体18万だが、これに色々引かれて手取り最大でも13万ぐらいだったんだ。まさか、1日で倍以上の金額を稼げたことに驚きしかなかった。
「これもシエルと出会えたおかげかな・・・ありがたやありがたや」
ヒン?
俺がシエルを拝みながら感謝を伝えていたが、本人はなぜ自分が拝まれているか分かっていない様子だ。
「そういえば畑もすごかったな。この成長の速さなら明日には収穫できそうだな」
本当にシエル様様だよ。シエルをあの時拾った判断は英断だったんだなと実感してしまう。
「シエル。明日はご馳走にしよう。お前がここに来た記念だ!!」
ヒヒ~~~ン!!
めっちゃ喜んでいるな。見た目と戦闘時の姿のギャップにおぼれそうだよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次の日
「・・・玉ねぎもジャガイモも収穫できるな」
ということでじゃがいもと玉ねぎを収穫した。3日で収穫できたことに驚きしか出ないが、シエルのおかげだと完全に割り切ることにした。
「後はスーパーで買い物だな」
実は分かったことだが、シエルは雑食であり、肉や魚も普通に食べる(骨もバリバリ食べるんだよね)。俺が作った野菜炒めを一心不乱に食べていることからそれが分かる。
で、今回シエルのおかげで稼いだお金だから、シエルに良い肉を食わせてやりたいと思っているんだよね。スーパーで大体3千円のステーキ肉を3枚買おうかな。
「シエルが喜べばいいけどな」
ヒンヒン
「どうしたシエル?」
ヒンヒンヒン
「・・・携帯が鳴っているのか」
これも最近分かったんだが、シエルが何を言っているのかが分かるようになってきた。テイムスキルのおかげなのかな?
シエルにせっつかれながら、携帯を取りに行った。
「誰だ。平日の朝だし、こんな時間にかける人はいないと思うが・・・って健太か?」
俺に電話をかけてきたのは中高の同級生であり親友の高梨健太だ。健太は探索者を志願していたんだよな確か。
「もしもし健太」
『もしもし優馬。お前すごいことになってるぞ』
「すごいって何が?」
『スマン。まず確認だった・・・お前昨日ダンジョンに従魔と一緒に潜ったか?』
「どうしてお前がそれを!?」
『ってことはお前なんだな』
「・・・カマかけたのか?」
『確信がなかったからな』
「で、何の用で連絡してきたんだ?」
『それはな・・・お前が探索者ギルドで初日に1層のボスを倒したことが掲示板に載ってるんだよ』
「・・・・・・・・はぁ!?」
何で!?・・・っていうか誰がって昨日の探索者ギルド内で携帯を構えていた人いたな。
『一応、暈されているみたいだけどよ・・・場所が甲府ってのは特定されているみたいだ』
「暈されているだけましか・・・けど、これって迂闊にギルドに近づけないよな」
『多分な』
「どうして健太は俺だって分かったんだ?」
『お前の手だよ。高校時代に事故で怪我したときの傷で分かるからな。それに最近のメールで甲府の田舎にいるって言ったのを思い出してな。
それでカマを掛けたらビンゴだったってことだ』
「・・・すごい推理だな」
健太は昔から頭の回転が早かったからな。本当に流石だ・・・ってそれどころじゃないよね~~~~。本当にどうしよう?




