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ドイツ覚醒

ドイツ南部・シュトゥットガルト郊外。産業団地の中に、静かに広がる労働者の街がある。


そこに現れたビスマルクを見て、人々は最初こそ困惑したが、彼がマイクを手に語り出すと、誰もが足を止めた。


「この地の空気には、昔のプロイセンの匂いがある。労働と誇り。今、君たちはそれを“誰のため”に捧げている?」


そこには、移民の青年たちも、失業中の中年たちも、年金に頼る老夫婦もいた。


「国の富を作るのは、政治家の会議ではない。君たちの手だ。だが、政治はその事実から目を逸らした」


拍手が起こる。


「私は、“再び誇れる国家”を作る。それは排除ではない。“居場所を作る”ことだ。過去に囚われず、未来に逃げず、今に誠実な国を」


その演説はSNSで爆発的に拡散され、「#鉄血の再生」が国内トレンド1位となる。


翌週、ビスマルクは国会で突如として「帝国学校計画(Reichsschule)」を発表。


「職業教育・愛国市民教育・科学技術訓練を統合した“次世代ドイツ人”の育成機関だ。貴族も移民も、失業者も若者も――希望を学び、責任を背負う場とする」


与野党問わず、議場がどよめいた。


「閣下、それは……国家主導による思想教育に近すぎませんか!」


左派議員が問い詰めると、彼は静かに答えた。


「違う。“教育の欠如”こそが思想の奴隷を生む。“国家観”を持たずに民主主義はあり得ない」


反発もあった。だが、支持もまた急増した。


さらに彼は「国民統合の三本の矢」として以下の政策を提案した。


徴兵制の復活(民間奉仕含む)

 ―「若者は国家に触れ、国家は若者に応える」

地域共同体の自治拡大

 ―「中央の支配ではなく、地方からの統合を」

ドイツ文化復興計画

 ―「歌い、語り、祈る国民こそ、国の根幹である」


文化人・学者からは「ナショナリズムの回帰だ」との声もあがったが、国民の過半はこの“骨のある言葉”に驚くほどの共感を示した。


その頃、一通の手紙がSNSで拡散された。


「私はシリアから逃れてきた難民です。最初、ビスマルクという人の言葉に恐怖を感じました。しかし、今は違います。


彼の言葉は“排除”ではなく“期待”です。祖国を失った私に、新たな祖国をくれる言葉です」


この投稿に、ビスマルク本人が短く返信した。


「祖国とは、生まれた場所ではない。“守りたい”と思った場所こそ、祖国だ」


ドイツ覚醒


全国各地で草の根運動が広がった。「帝国学校」構想への署名活動、「文化の日」の復活要求、「青年奉仕隊」の自発的結成――。


国旗を掲げる家が増え、かつては空虚とされた“ドイツ”という言葉に、次第に実感が宿り始めた。


そんな中、政権与党の一部からは、こうした動きに警戒感が強まりつつあった。


「……このままでは、“第二のビスマルク体制”が築かれる。止めねばならない」


一方、ビスマルク本人はそれを意に介さず、次の言葉を発していた。


「国家とは“血”ではない。“選択”だ。選ばれ続ける国家こそが、未来を手にする」

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