ある日の恋愛占い
「双子の魂」を邪魔する悪役令嬢かと思いきや、最終的に必要な「贄」、だった話し
昔から占い好きだった。
彼が出来たら、相性は?果ては結婚は?なんて、占ってみたり。
占いフェチとでも言うのだろうか。
ある時、四柱推命でよく当たるっていう占い師に出会った。
ちょうど、新たな恋が始まった頃でもあり、その恋に夢中になり、ふわふわした日々を過ごしていた。
例の如く、彼との相性も、占ってみることにした。
年齢も結婚を考える年頃でもあったから。
彼の誕生日と、彼の生い立ち、彼の家の話しなど、彼から聞いた話しを心の中で反芻する。
少し心に引っかかったのは、彼の家が御殿医の家柄だったこと。
あれ〜 ご・てん・い?
まぁ、大丈夫、、かな?
そういえば、学生時代の友人の家も北陸の御殿医だった、、なんか意外に多い(笑)?
友人は、普通の人だし、結婚してお子さんもいて、普通に家庭築いているし、御殿医だからってね、、
と、心の中で、ぶつぶつと言い訳しながら、占いに行った。
♢ ♢ ♢
「おすすめはしません。」
占い師が占い始めてしばらく経ち、ようやく口にした最初の言葉が、ショッキングだった。
(え〜〜? なんで〜?? )
びっくりして、言葉が出ないものの、心の中で叫んでいた。
(こんなにダメっていう断言、普通しないけど。。??)
「相手の方、、まず、、、双子の魂をお持ちなのよ。
双子の魂ってね、一つが二つに別れたものだから、一緒に居るのを望むものなのよ。
彼の双子の片割れは、、、そう、、、お母様ね。
双子の魂はね、夫婦・恋人なら、良い相性だけど、
そうじゃない相手だった場合、片割れと一緒に居たいから、片割れの既に居るパートナーを剋する事があるの。
彼はお母様との縁が深いから、お母様と彼が一緒にいるために、この二人の関係者に何らかの弊害が出てくるの。
つまり、あなたは、その双子の魂の関係には、お呼びじゃ無いのよ。」
「あ、そういえば、彼のお父様は、若年性認知症で施設にいるそうです。」ふと思い出し、そう伝えた。
「あぁ、やはり、、そうなのね、、。
つまりお母様のパートナーであるお父様が、そう言う(認知症という)理由で剋されて不在になって、息子である彼とお母様がずっと一緒にいる事になっている、ということね。」
(えっ!? そういう‥。)
「次にね、
(え?まだある!?)
この方自身、過去、つまり現在の人生では無い時に、なんらかの事件をしでかしていて、魂の刑罰があるようです。
だから、現世では運勢が良く無いというか、本人的には理由は判らないけど、すんなりいかない、障害が多くて、なんか上手く生きられない、って、彼は悩んでいると思います。
実はあなたはね、運勢が強いのよ。
彼が車で言うとミニのエンジンだとしたら、あなたはダンプカー、それくらいの差があるの。
彼は多分、無意識に、自分のうまくいかない生き方をどうにかしたくて、言い方は悪いけど、あなたのパワーに縋ろうっていうことなの。」
「私のパワーが彼を補えるなら、いいんじゃないですか。。」
「でもね、彼が過去生で何をやらかしたかは判らないけど、あなたがパートナーとして彼に運気を譲ると、代わりにあなたが死んじゃうとかね、そういう事も有り得るの。」
(え〜〜〜!!! 死んじゃう!!って、なに? )
浮かれていた恋心が、消え、心がす〜〜っと冷えていった。
肝が冷えるっていう表現がぴったりな現象、体の鳩尾あたりが、きゅ〜っと冷え硬くなって、背中がぞわぞわして血流が一挙に下に下がるような感覚。
(さすがに死にたく無いなぁ。。 )
「よくよく考えて、あなた自身を大切にして、選択してくださいね。」
占い師はそう言葉を締めくくり、占いは終わった。
♢ ♢ ♢
占い師のところを辞して、帰路、私は、頭の中で、自己問答をし続け、心の中は、喋る、しゃべる、喋り続けた。
死にたく無いなぁ、せっかく出来た彼氏だけど。。
双子の魂、って聞いた事あったなぁ。昔立ち読みした江原さんのスピリチュアル本に、キュリー夫妻がそうだったって。
でも夫婦なら良かったけど、そうじゃないと、邪魔な存在を剋するって、、そんなの知らなかった。
それじゃあ私は、邪魔で剋されちゃうって?? 小説の中でいう、邪魔な悪役令嬢か!?
冗談じゃ無い、悪役令嬢として死ぬのは小説だから許されるけど、邪魔だからって、現実で死ぬのは、受け入れられ無いし!!
でも、小説の場合、冤罪で死んだり、自業自得で死ぬんだけど、この場合、ある意味、呪詛で死ぬのと同意義な気がする。
邪魔だ、邪魔だ、死ね、死ねばいいのに、って無意識なところで念じていて、それが呪った相手に降りかかり、悪しき念の毒素で身体を壊すなど、剋されて排除されていく。。
丑三つ時の藁人形の念のことを考えれば、深層心理の中でバーチャル五寸釘をプスプス刺し送ってるみたいな?
うわぁ〜〜〜 考えてみれば、冤罪とかよりも、闇が深くて恐ろしい。。。
それに! 不運の肩代わり、ってなによ!
邪魔で剋される、ってそれも嫌だけど、パートナーの「負・闇」を代わりに身に受ける?
それって、まるで神社で、夏越しの祓い、とかで使う「大祓人形」のカタシロみたいだよね。
大祓人形に名前を書いて、罪・穢れ・病・厄を、このヒトガタに引き受けさせて、自身の息災を祈願するけど、
白い紙の人形じゃなくて、リアルで生身の人間を、身代わりにするっていうこと???
つまり私は、彼の厄払いの生身人形「ひとがた」って事??
厄を引き受けた白い紙のカタシロは、川や海など、水に流したりして、(この世から)役目を終えて消えて行くわけだけど、
生身の人間が、役目を果たしたら、死ぬ、って事だよね!!
いや〜〜〜〜ぁっ!!
♢ ♢ ♢
帰宅してからも、しばらく、ず〜っと、「身代わり嫌・否」を理屈づけて考えていた。
昔、2番目に就職した会社の部長、ガン闘病中に奥様が亡くなったけど、本人は元気になって二年後位に再婚してたなぁ。
それって、カタシロになった奥様が病を引き受け、命削って、夫に命と運気を差し出したような気がする。
あ!思い出した! 一番最初に勤めた会社の上司、出世に失敗してため息ばかりだったら、奥様が亡くなったのよね。
とても元気で朗らかな女性だったからビックリしたけど、その上司も二年後くらいに再婚してたなぁ。。
彼の不運を前の奥様が全部払拭してお亡くなりになったように思ったわ。今じゃ彼は若い奥様とラブラブ人生になっているものね。
この2つとも、自死だったなぁ、それに再婚するっていうところも同じ。。
あと!御殿医つながりで思い出したけど、知り合いの女性、東北の御殿医の家柄の医師と結婚して、あちらの家のカルマに囚われちゃったんだった。。そう!御殿医っていうキーワードで心の点滅アラームが鳴っていたって、あの彼との将来は「贄の危険性」そういう事だったんだ。。
もちろん、御殿医の家柄云々という訳じゃなくって、あくまでも、彼の場合だけど、ね。。
♢ ♢ ♢
考えて、考えて、
わたし、死にたく無い。
彼に命も捧げられるほど愛しているか?って、正直、愛じゃなかった。たぶん、、恋だった。
だって自分がかわいい。
何度も言うけど、死にたくない。
無私の愛は、私には無理だぁ。。贄にはなれない。
っていう結論に達して、彼とはお別れした。
♢ ♢ ♢
その後、何年も経って、古い家柄の俳優さんの奥様が病でお亡くなりになったけど、もしかして贄?って勝手に思っている。
「贄」って、大昔の物理的に生物を神に捧げる意味で、倫理的背景から、現代は贄を捧げるお祭りでも「殺すふり」だけ。
もちろん、人身御供なんて、とんでも無い!
でも、私が見聞きした「贄」は、きっと現代でも、行われている。
ひっそりと、夫婦間、とか、家の中で。。