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1話 始まり

  目が覚めるとそこは白い世界だった。見渡す限り上も下も全て白で構成された不思議な空間。

 その空間は地平線まで続き、果てが見える気はしない。


 そんな世界にポツンといる一人の存在、彼の名前は阿口由安あぐちゆあん、特に秀でた能力もないどこにでもいるような28歳の一般的な社会人だった。


 今日だって普通に会社に行って、夜まで働いていたはずだ。なのにどうして俺はこんなところにいるんだ?

 …もしかしてこれは夢だろうか?最近残業が多かったし、寝落ちしてしまったのかもしれない。

 いや、それにしては意識がはっきりしすぎているし、感覚だって普通にある。


 …だとしたらこの世界はなんなんだ?


 テレビでも見たことのないようなこの世界に対する疑問はより大きくなる。

 経験や今までみた本など知識を総動員してなんとかその答えを探し出そうとする。

 そうした時考えたくもない最悪の可能性に気づいてしまった。


 真っ白な世界、どこまで見えない地平線、こんなものがあるとすればそれは…


「死後の世界…もしくは異世界転生か、」


 漫画の読みすぎかもしれないが、正直この状況で当てはまるとしたらこれしかない。

 しかし、もし異世界転生前なら神様とかがいるのがお約束な気がするがやはり周りを見渡しても人影の気配すらない。

 とはいえ、この状況である異常おそらく俺は死んでしまったのだろう。

 だとしたら、死因はなんだろうか?記憶をたどるなら過労死とかだろうか?それかぼーとしてて車にひかれたとかそういうのだろうか?


 …まあ、別に自分の死因とかどうでもいいか、親ももう死んじゃってたしほかに悲しむような人もいないし、それに特段未練があるとかそんなのもなかったからな。

 それより今はこの状況をどうするかだ、永遠に白一色の世界に独りぼっちはさすがにいやだぞ?


 そんなことを考えていると突然、目の前に光る板のようなものが現れた。


「…なんだこれ?」


 光る板はよく見るとタブレットのようなもので画面には日本語でスタートと書かれたボタンが現れている。


「…押せってことか?」


 なんかしらの罠…と言う可能性を考え、一瞬の躊躇があったが、ここでやることなんて他にない以上選ばないという選択肢はなく俺はそのスタートと書かれたボタンを思いっきり押した。


ーアンケートに答えてくださいー


「え?アンケート?」


 ボタンを押した瞬間に効果音もなく画面が変わり、表示されたのはまさかのアンケートだった。

 形式はよくある質問にどれほど当てはまるかを4択で答えるやつ。

 てっきり能力の抽選とかそう言うのを決める物でも出てくるのかと思っていたのだが。

 しかも答える問題も馬鹿みたいに多く、その総数はなんと500個。


「…でも、やるしかないよな。普通に」


 500個も答えるのは大変面倒臭いが、やっと出てきた変化で次に何があるかわからない以上やはりこれも答えないと言う選択肢はない。

 アンケートの内容としては元の生活や生まれ、好きなものとか本当に細かいところまで聞かれたため、死ぬ前の自分のひどい生活がフラッシュバックして普通に気分が悪くなった。

 

「よーし、ラスト!」


 そうしてしぶしぶ答え続けること一時間半、ようやく最後までアンケートを答え終わり提出のボタンを押す。

 すると画面にはお疲れ様でした、しばらくお待ちくださいと表示されてちゃんと答えれたのだとひと安心する。


「あー、終わったぁ。」


 背伸びをしながら謎の達成感に包まれる。

 いやマジで多かったし、だるかった。…そういや少し待っていたって書かれてたけど、この先どうなるんだろ?流石にアンケートだけってことはない気もするけど…

 しかし、そんな予想とは裏腹に目の前が急に光だし俺はその光に包まれる。

 そうして意識が薄れていく中、本当にアンケートだけで終わるのかよ、という思いだけが残っていた。


 そして次に目が覚めると、俺は知らない空の下で横たわっていたのであった。

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