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プロローグ:出会い

初連載です。未熟な部分もあるかと思いますが、よろしくお願いします!

 高校で最初の定期試験が終わった帰り、俺は見慣れた緑道を歩いていた。


「はぁ⋯⋯」


 どういう状況だこれ。

 なんで俺の右斜め前のベンチに、

 ため息を吐いているクラスの女子が座ってて、


「っ!」

 

 あ、目があった。いやあってないかな。

 「きっと大丈夫だろう」と思って、前を向きそのまま通り過ぎようとするがーー。


「ねぇ」


 なんだ、友達もいたのか。見えなかったけど。

 悪いが、俺は陽キャとは住む世界が違うのだよ。


「ねぇってば」


 あれもしかして、俺に言ってる?


 俺はまさかと思い、彼女の方を向く。

 

 あ、ちゃんとこっち向いてた。


「えっと、どうしたの?」


 流石にここまで来たら無視はできないので、仕方なく声を掛けることにした。

 「Hello」をすっとばして「How are you?」から入った感じになってしまったが、まあいいだろう。

 あ、やべ。こいつの名前がわからん。


神獅(かみし)だっけ。家ここら辺なんだって思って」


 確かに、俺もここで見るのは初めてだ。

 俺の高校の生徒は電車通学がメインだから、家の近くで同じ学校の生徒を見ることは殆ど無い。


「うん。ここから五分くらい」


 次の言葉が出ない。

 彼女もそうなんだろう。


「⋯⋯」

「⋯⋯」


 (既に気まずいが、)このままだと気まずくなるのを察知した俺は、


「何かあったの?」


 やっぱりデリカシー無かったかな、と思いつつ、返事を待つ。


「えっと⋯⋯」


 あちゃあ、やっちまったか。明日はこいつと目を合わせられないな。


「二人で何してるのー?」


 静けさを切り裂く明るい声。


「あの、クラスの神獅君だよね?」

「あ、うん」

 

 これが真の陽キャってやつか。なんというかオーラがすごい。


「あ、もしかしてだけどーー」


 名前は忘れたが、その陽キャは、あからさまに口を手で隠して、


「君、唱菜(しょうな)ちゃんの彼氏?」

「「へ?」」


 変な声が出た。


「いや、まさかそんなことはーー」

「なんてね! 冗談だよー」


 破壊力がエグイッ! 何だこのパワーは!?


ーーーー


 家でクラスラインを見て、彼女らの名前を思い出した。

 ベンチに座っていた方は、時浦唱菜(ときうらしょうな)

 もう一人は、笹崎優(ささざきゆう)


 色恋沙汰には興味がないが、なんというか、モテそうだ。


ーーーー


 気まずくはなかった。

 クラスで、「別に悪いやつじゃないんだけど、話しかける理由もないしそっとしとこ」的な立ち位置を確立している俺は、特に大きなイベントを迎えることなく一日を終えた。

 

 帰り道、緑道に時浦と笹崎が座っていた。

 

「⋯⋯やっほ」

「やっほー、神獅君!」


「や、やっほ」


 ノリの良すぎる陽キャ流の挨拶を体験したところで、笹崎が口を開いた。


「聞いてよ、神獅君! 唱菜ちゃんったら、ずっと好きな人がいるのに何もしてないんだよ?」

「あ、ちょっと!」


 一体俺は何に付き合わされているのだろうか。


「まあ、その、時浦さんにも色々あるんじゃない?」


 知らんけど。


「うーん、そうかなあ。あたしは勇気がないだけだと思うけどぉ?」


 そう言って笹崎は時浦の方にちらちらと目をやる。

 

 人の恋沙汰に巻き込まれそうになり、どうしても居心地が悪かった俺は、適当に話を逸らして逃げることにした。(二日連続!)



 確かに多少は気になる。クラスで恋愛の話が蔓延っていたり、恋愛モノの小説が売れる理由がわかった気がした。


ーーーー


 「兄ちゃん、ちょっと出かけてくるね」

 「はーい」


 弟、神獅翔を送った後、やることが無かったので、普段あまりいじらないスマホを取り出してメッセージを見る。


『やっぱり、ここだとあれなので明日の昼休みに多目的室(いち)に来てくれませんか』


 最初は誰からかと思ったが、すぐに時浦からであると気づく。

 

『相談があるんです』

『分かった。』


 画面にペコリと頭を下げたキャラクターのスタンプが踊る。


 俺はベッドに仰向けで倒れ込み考える。

 これまで接点の無かったただのクラスメイトが俺に何の用があるのだろう。

 笹崎の言っていた、「ずっと好きな人」だろうか。




次回は14日に投稿します。

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