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公園

作者: 柴犬











 僕はバイトで生計を立ててる。




 



 親からは勘当されたからだ。





 学校に行かず家で引きこもり生活をすればそうなるだろう。




 アパートの保証人に成ってくれたのが最後の温情だろう。











 生活のためにバイトをして貯金もせず遊びまわる生活。



 そんな生活に飽き始めたバイト帰りの事だ。












 とある深夜。



















 


 僕は懐中電灯を持って歩いていた。



 僕の次のシフトの人間が当欠したからだ。




 お陰で深夜に帰る羽目になった。







 チカチカ。



 チカチカ。





 懐中電灯は店からの借り物だが接触が悪く直ぐに点滅する。



 



 チカチカ。




 チカチカ。









 



 近道の為に公園に入ったのは失敗みたいだった。






 周囲は不気味なぐらい静まり返っている。



 何時もなら公園に捨てれた縁日の鶏が鳴くのに。


 






「何か生暖かいな~~」



 そう思いながら僕は周囲を横目で見る。



 春に散った桜の樹。

 今は夏なので青々とした葉桜だな。

 

 桜の樹近くのベンチは……。

 何度もペンキを塗った跡がある。

 落書きが多いんだろう。





 鯉を放流している公園の池。

 視界いっぱいに広がる池は少しゴミが浮いてるが気にしないでおく。





 どう見てもありふれた国立公園だ。






 ピチャ。



「ひっ」



 跳び上がりそうになる。

 





 チャプチャプ。



 


「鯉か……」



 驚いて損した。


 そう思いながら僕は歩き続ける。

 















 延々と。

 延々と。






 チカチカ。

 チカチカ。




 懐中電灯の光が点滅。

 そうして暫くして懐中電灯の光が消えた。



「懐中電灯の配線が切れたかな?」




 光が消えた懐中電灯を弄る僕。

 無理かな~~。

 光がつかないかな~~。



 











 そんな時の事だ。

 生暖かい風が吹いた。

 生暖かい風が。












 



 生臭い匂いの風。

 そんな風が鼻腔を擽る。











 グチャグチャ。


 コケッ……。











 何かの音が聞こえた。

 何かの。


 近くで聞こえる。

 それも僅か数歩の距離。






 嫌な感じがする。

 嫌な。



 眼の前が真っ暗だ。

 ここから離れようにも暗くて無理だ。





 チカチカ。

 チカチカ。





 懐中電灯の光が点灯してまた消えた。




「……」





 視界の隅に見えた。



 そう。



 見えた。







 運悪く。












 



 そう。

 運悪く。
























 鶏の首を齧る老人を。

 血で口を染め鶏を齧る老人を。



 肉食獣の様な歯を持つ老人を見た。










 怖気が走る。









 そのまま僕は逃げ出した。

 真っ暗な夜の闇の中を。





























 

 ゴキッ!



 何処かで湿った折れる音がした。

 その音を聞いた瞬間意識が暗転した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 改行で間をとる、いつものスタイル。 「コケッ」が、よかったです。
[良い点] よきストーリーでした。 背景描写も、テーマも良かった。
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