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エピローグ

完結です。



 季節は4月となり、春らしい陽気が続く中で私と所長は菅原 美智子さんの依頼でいくつかの民事訴訟の準備に追われています。

 ネット上での誹謗中傷に対する賠償訴訟については訴状を書くために相手の特定を行うために、事務所の先輩方がプロバイダへの情報開示請求の手続きを進めていて、私と所長はAZUMA TV 浅科 捲 被告双方に対して、合わせて1億2千万の民事賠償を求める裁判を起こすべく、すでに訴状は提出済みで、その公判に向けての準備やら、何やらで大忙しです。


 「亜久里くんが来てもうすぐ一年、そしたらついに弁護士の仲間入りだねー」

 所長がそんな風に声を掛けてくる。5月になれば司法修習生として、この事務所に赴任して一年となり、修習期間が終了すれば、私も弁護士会への登録をして、晴れて弁護士となる。

 「所長を初め、皆さんのお陰です」

 「いやいや、単に亜久里くんが優秀だからだよ、今回の刑事訴訟でも助けて貰ったしね。次の民事訴訟では正式に弁護士になるわけで、メインで任せることになるかな」

 「えっ、いやいや、まだまだ荷が重いですよ。役が勝ち過ぎてますって、役者不足ですよ」

 「ハハハ、世間はそう思ってないみたいだよ。草薙事務所、期待のホープが大活躍って連日、報道されてたからねー」

 九条検事の口頭弁論での訴えかけや、決め手となった音声データなど、裁判の肝心な部分を私が活躍して導いたと、何故か九条検事や所長が得意気に「植木修習生がいなければ」と語ったせいで、随分と持ち上げられてしまっている。

 嘘では無いけれど、私だけでは決して上手く行かなかった筈で、単なる思い付きや原告や被害者の気持ちを伝えたかっただけの私の我が儘に付き合って、無理をしてくれたのは九条検事の方であって。

 

 所長が私への取材を「まだ修習生だから」とやんわりと遠ざけてくれて助かったけれど、その事で余計に事務所期待のホープ扱いになっている。


 「まあ、名前が売れてマイナスになることは無い仕事だから、それに事務所のメンバー全員がバックアップするから安心して」

 「ありがとうございます。そうですよね、前向きに考えないと」

 赤羽の事務所で私はやっと、ここの一員になれるのだと嬉しくなる反面で、修習期間中、指導して下さった所長とのコンビもこれでお仕舞いかーと残念でもあった。


 長い公判になることが予想されるAZUMA TV 浅科被告への民事訴訟が始まる中、草薙事務所には新人が訪れていた。


 「植木先生ですね! お逢いできて光栄です!!」


 まず、私への挨拶でキラキラと目を輝かせた若干童顔の女性は今年、司法試験に合格した修習生だ。

 何故か、私への尊敬を隠さないが直ぐに失望に変わると思う。


 「猿渡 恵美さん、当面は僕と亜久里くんが指導に当たりますからよろしくね」


 私と所長のコンビはどうやらトリオに昇格らしい。


 「所長、なんで私も」

 「その方が面白そうでしょ」

 

 真新しいバッジを胸に、この笑顔に逆襲しようと決めた私でした。





ありがとうございましたm(_ _)m


短い内容でしたが、完結出来ましたm(_ _)m


ありがとうございました.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.


スピンオフ作品を書きました。

髪は微笑むか

https://ncode.syosetu.com/n0338iq/

本編登場人物の本橋弁護士が主人公のお話となっています。

良ければ読んでくださいm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] レビューを見て興味を持ち、拝読しました。 最初は裁判の様子をリアルに淡々と描写する小説かなと思いましたが、 だんだんとテレビ局サイドのきな臭さが浮き彫りになっていき、 ワクワクしながら読み…
[良い点] 楽しませて頂きました! [気になる点] 個人的には民事訴訟編もあっても宜しいかと。 [一言] 民事裁判経験者として「訴えた側」の方が有利であると感じました。 訴えた側が地上による「威圧行…
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