いざ、街へ
「ふぅ・・・・・・。さて、出かけるか」
俺はその辺に脱ぎ捨てた服を拾い、水を一気に飲み干す。
振り返ると、歴戦の毛布の中で、ミニェが果てている。白く細い足を放り出し、至福の表情を浮かべながら眠っている。
今日も今日とて激しかった。いつかこの岩窟部屋が崩れないか心配だ。
俺は着替え、聖剣に手をかける。聖剣は壁からスウッと抜ける。刺さっていた痕は一切残らない。
「本当に、不思議な剣だ」
聖剣エルドラ――。
選ばれし者にしか振るうことを許されぬ、伝説の剣。
らしい。
まあ、歴史だの、前の持ち主は誰かだの、そんなことはこの際どうでもいいのだ。
軽い割にはよく切れる。それに、手に馴染むというか、身の危険を察知して勝手に動いてくれる。自由自在と言うわけではないが、伸ばしたり縮めたりもできる。なにかと便利な万能剣なのだ。
マントが揺れる。俺が指笛を鳴らすまでもなく、大鷲のファクルが翼を大きく広げやってきた。
「ファクル。今度こそ、街へ向かうぞ」
ファクルは呆れた様子で首を横に振った。
「悪かったって。じゃあ、行こうか」
俺はファクルに飛び乗った。
目的地は、港町ヨリン。
あそこの酒は美味いし、美人が多い!